北へ。〜Diamond Dust〜「茜木温子」シナリオの感想・レビュー

政略結婚に直面する函館の鮮魚店の娘に都合よく利用されてしまう話。
富裕層出身だった温子の母親は駆け落ちを決行するが夫を早期に亡くしてしまう。
それゆえ貧しい暮らしに耐えながら何とか鮮魚店を切り盛りしてきた。
母親は貧乏生活から抜け出すべく裕福な親戚筋に温子を嫁に出そうとする。
温子は政略結婚に乗り気でないものの、強く反対も出来ないでいた。
温子は自己の意思決定に基づく結婚と鮮魚店の継承を同時に満たすため主人公を利用する。
FDでは主人公を婿養子にして鮮魚店を継がせようとする温子が特に強調される。

主人公が温子に「利用されている」感が際立つ

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  • 温子は、自己の意思決定に基づく結婚と鮮魚店の継承が出来れば、主人公である必然性は無かった
    • 茜木温子は函館朝市鮮魚店の看板娘。気が強く粗野な振る舞いも多いのですが、政略結婚に悩んでいる一面も見せます。温子が政略結婚に乗り気でない理由は2点あり、一つ目が親が決めた結婚であること、二つ目が婚約者が自営業の商店を見下していることでした。温子の母親はもとも富裕層出身だったのですが、駆け落ちしたという過去が明かされます。しかも夫(温子の父)は早期に死亡したので、女手一つで鮮魚店を続けねばならず、温子にも苦労をかけたとのこと。温子の母は娘にこれ以上経済的に苦労をさせたくないため、裕福な遠縁の親戚との結婚をすすめていたのです。温子も温子で、旧家の複雑な家庭環境や経済状況、何より相手がそんなに悪くないということもあってキッパリと断ることもできず、ズルズルと引き延ばして来たのでした。
    • そんな温子の現状を打破するのが、我等が主人公。しかし、この主人公はあくまでも温子にとって都合の良い男性にしか過ぎないのです。温子は、親に言われたのではなく、自分の恋心から自己の意思決定によって選んだ男性という記号が欲しかったに過ぎないのですね。温子編では主人公を品定めするようなイベントも多く、利尻島に行き、山登りまですることになります。

 

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  • 温子は主人公に自分を求めさせ鮮魚店を継がせる
    • 温子は婚姻問題で心がグチャグチャなっているところを、主人公に優しくされ、肉体的な関係を持つことになります。責任を取る形になった主人公は政略結婚の問題を解決するために、温子の本家へGO!そこでゴッドマザーと称する一門の長であるBBAと対峙することになるのです。ここでのやりとりで男を見せると、最終的に温子を嫁にするエンドとなります。FDの「+ Kiss is Beginning.」では温子が主人公を落とすまでの道のりが描かれます。結婚に至るまでの√が2パターンあり、一つ目が温子が婉曲的に主人公にプロポーズするように求めて来るので、それに乗って素直にプロポーズするルート。二つ目はプロポーズに躊躇するルートなのですが、そうすると温子は元の婚約者に乗り越えるという芝居を打ち主人公が自分を追ってくるように仕向けるのです。どちらをとっても温子が主人公に自分を求めさせようという勢いが凄まじいですね。ちなみに多種あるバッドエンドで温子が妙に物分かりがよくなり、冷静になった結果、自分が自分の都合だけで主人公を利用していることに気づき、別れるというエンドもあります。

 

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