雑録

北へ。White Illumination「川原鮎」シナリオの感想・レビュー

小学校の時にイジメを受けていたJKがトラウマを払拭するため歌手を目指す話。
コンテンツツーリズム論的にはグルメとポピュラー音楽という2つの点で重要。
グルメについてはすすきのにあるリアル高級寿司店「澤登」の娘という設定。
ポピュラー音楽としては北海道の各地を題材にした曲が紹介されていく。
札幌駅を拠点に周辺地域を回るという状況であり手稲・小樽・銭函・函館等へ行く。
90年代末期の北海道の観光産業を記録する貴重な史料である。

川原鮎のキャラクター表現とフラグ生成過程

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  • イジメのトラウマでPTSD発症しちゃうのを歌で乗り越えろ!
    • 川原鮎は春野琴梨(主人公の従妹)の親友という縁で知り合います。一見すると元気っ子枠で登場するため、明るくフランクなキャラ付けをされています。歌手になることを夢見ており、主人公もほぼ初対面にも関わらずカラオケに付き合わされることとなるのです。カラオケ勝負で主人公が勝利すると鮎は後に伝説となる曲「わたしまけましたわ」を披露してくれます。
    • こうして好感度を積み重ねていくわけですが、徐々に川原鮎の内面が吐露されていきます。鮎はもともと慕っている年上の男性がいたのですが、若くして死亡してしまったこと。小学校ではイジメを受けており暗黒の時代を過ごしたこと。イジメをきっかけに仲良くしていたトモダチも離れていき、根暗陰キャぼっちとなったこと。教室の片隅で読書ばかりしていたが、そのせいでデブになりさらにイジメられたこと・・・そして小学校時代のイジメの暗い記憶がトラウマになっておりJK2になった今でもフラシュバックしPTSDに悩まされていることが語られます。鮎が歌手を目指すのは、歌が好きなことに加えて、こうしたトラウマを克服するためでもあったのですね。夏編の最後は主人公の協力で完成させた曲でオーディションを突破します。テレビ塔で大通り公園を眺めながら、鮎がこれまで自分から電話をかけて主人公をデートに誘うことが出来ず、いつも電話を待っていたというシーンは結構グッとくる展開です。

 

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  • 他者受容願望により安易に承認欲求を満たそうとするため批判されるとメンタルクラッシュ
    • 冬編では作詞作曲の研鑽を積み、ライブハウスで発表するなど着実に歌手としての道を歩んでいる鮎。しかしながら音楽をやる動機が歪んでいたことが明かされます。鮎が歌に興味を持ったのは、幼少期に実家の寿司屋で常連たちから歌ってくれと頼まれたことから。幼かったこともプラスに働いたのでしょう。鮎が昭和ソングや流行歌を歌うとバカ受けしたとのこと。小学校でイジメを受けていた鮎は自分が誰かのためになれる、誰かを喜ばせることができると他者受容願望が刺激されることとなり、ここで承認欲求を満たして行ったのです。しかしそれは歪んだ願望だということを知れ。自分が評価されている時にはノリノリな鮎ですが、批判されると即座にメンタルクラッシュ。ミニコミ誌で酷評されたことでしばらくは何もできなかった時期があったことなどが告げられます。そんな鮎を肯定してあげればフラグは成立さ。こうして主人公に救われた鮎は真剣に音楽に取り組み、目標であった歌手デビューを成し遂げたのでした。
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