白昼夢の青写真 CASE2「オリヴィア・ベリー」シナリオの感想・レビュー

シェイクスピアの人生と作品を題材にした話。
真夏の夜の夢ハムレットロミオとジュリエットの創作秘話を新解釈する。
「信仰の自由」と「女性解放」をテーマにしていたが、何も解決せず終わる。
宗教問題が物語を転がすだけの装置に矮小化されてしまった所に限界があった。
最後はシェイクスピアが名作を生み続ければ別れてしまった女にも届くよエンドとなる。

オリヴィア・ベリーのキャラクター表現とフラグ生成過程

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  • シェイクスピアは愛する一人の女の為に戯曲を書き続けるのさというオチ
    • 【1】オリヴィア・ベリーはアイルランド出身の元・奴隷。スペンサーに身請けをされて生きる意志を失っていた所、演劇を見て人間の尊厳を取り戻したという設定。それ故、オリヴィアは自分も役者として舞台の上に立つことを望むが時代情勢的に、女が演劇に出るのは難しかった。それゆえ「女性解放」を目指すことが第一のテーマとなる。
    • 【2】もう一つのテーマはカトリック問題。イギリスにおける宗教改革はヘンリ8世の離婚問題に端を発して国教会となり、以後エドワード6世の一般祈祷書、メアリ1世の反動化を経て、エリザベス1世の時に国教会の統一法が出された。このゲームの世界線ではエリザベス1世の時代に過激なカトリック狩りが行われており、主人公のシェイクスピアは盲目の父とカトリックが集まる酒場を営んでいるという設定。この時点でストラトフォード・アポン・エイボン中流家庭・・・とツッコミどころ満載だがゲームだから仕方だがない。
    • 【3】で、カトリック問題であるが、これはシナリオを転がすためだけの単なる装置にしか過ぎなかった。まずシェイクスピアが劇作家として覚醒する為に宣教師の死が使われる→「クリリンのことか技法」。続いて、成功を重ねる一座を突如逮捕するための理由付けに使われる。こうして「信仰の自由」が重要なテーマとして扱われながら、どうにもならなかった。
    • 【4】一方の「女性解放」はどうか。最終的にこれもオリヴィア個人の問題に帰結することになる。シェイクスピアエリザベス女王と謁見することが許されるのだが、その際に女王のお目こぼしで舞台に立てるという妥協案で解決が図られる。オリヴィアは宮廷の大舞台でロミジュリできて良かったねという展開。最終的には捕まったシェイクスピアたち一座の保釈金をスペンサーに出してもらうためにオリヴィアは犠牲となる。シェイクスピアが名作を書き続ければ、二人の距離が分かれていても、各国に広がり上演されるので時間や場所を越えて繋がることができるよエンドとなる。


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