海と雪のシアンブルー「菜畑いなば」シナリオの感想・レビュー

教育ママにより性格が歪んだが主人公との交流で人間性を回復した少女の話。
勉強が出来る事を鼻にかけ周囲を見下していた孤高系中二病少女はもういない。
だが高校進学後、無理して周囲と調和してきた少女にボロが出始める。
それを今一度救うのが主人公であり、今度は少女が地を出せるよう支えとなる。
親との戦いが描かれなかったのは残念。近年は勝ち逃げする傾向が多いかも。
あと孤高系中二病患者あるあるで、ヘッセ好きで『デミアン』が素材となる。

菜畑いなばのキャラクター表現とフラグ生成過程

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  • 親との戦い・自立・和解は無い
    • 菜畑いなばは元気系後輩枠の明るい少女。しかしこれはJC時代に主人公と出会ったことで変わった姿であり、初期のいなばはスレていたのです。それというのも、いなばの家庭は教育ママであり、偏った思想を注入されており、勉強が出来る事を鼻にかけ、周囲を見下し馬鹿にしていたのです。そんな高慢な少女が周囲から相手にしてもらえるわけは無く、結局は孤立に陥り、いなば自身も低能に理解されなくてもよいと突っ張っていたのでした。しかし他者との交流を本質的に求めるのがニンゲンというものであり、いなばは図書館で出会った主人公と次第に打ち明けたのでした。偉そうに振る舞ういなばを否定することなく受け入れてあげる余裕が、聡いいなばに自分の卑小さを理解させることに繋がったのでした。
    • こうした経緯を踏まえてJKとなったいなばは周囲と調和するべく明るく振る舞ってきました。ですが、ネット小説ライターの趣味や、従来の頑固な生真面目さにより、色々と問題を抱えるようになってきてしまいます。まぁここまで読めば、いなばの根本的な問題となっている教育ママからの自立と和解が期待されるでしょう。しかし、そんなものは無かった。いなばはいなばで親の期待には応えようとしており、しかもその期待にこたえきれてしまって勝ち逃げ。けどこれって結局は問題の後回しだから年取った後に問題が再燃してしまうよなぁと。また学校でのヘイトに対しても地を出していくことを決意したいなばが本気を出せば割とご都合主義的に解決できてしまいハッピーエンド。いなばにとって必要だったのは理解者、ヘッセでいえばシンクレアにとってのデミアン、すなわち主人公。主人公がいれば何でも出来る!というオチになります。

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