【感想】ゴールデンカムイ4期9話「殺人への罪悪感を払拭させるのは愛」

戦争において兵士の殺人への抵抗感を払拭できるのは愛だと気付いた鶴見が甘い嘘で腹心作りをするようになる話。
その一方で元々殺人への罪悪感が無く戦後のPTSDにも無縁な戦士適性に優れた強い人材も中には存在することに気付く。
そういった強い戦士であったのが宇佐美であり、だからこそ鶴見は彼を重用していたのであった。
宇佐美と鶴見は同じ新潟出身であり、柔道の道場において兄弟子と弟弟子との関係性にあった。
宇佐美は貧農の子弟であったが柔道に強く、鶴見に認められることこそが、彼の存在意義だったのである。
一見すると宇佐美は第二師団の将校の息子と良好な関係を築いていたかに見えた。だが笑顔で怨恨を隠していたのだ。
それが暴発させたのが鶴見の何気ない一言であり、鶴見に認めらるたことが全てであった宇佐美の世界を壊したのだ。
故に宇佐美は友人と思われていた将校の息子をサクッと踏み殺してしまうのであった。
自分の為なら難なく人を殺せる宇佐美を見た鶴見は彼のような腹心を意図的に生み出すべく甘い嘘で愛を育むようになった。

鶴見中尉が甘い嘘で部下との愛を育み自分の為なら殺人を厭わない腹心作りをするようになったワケ

一見仲良しに見える二人だが、宇佐美にとっては怨恨の対象であった
  • 如何にして鶴見中尉は甘い嘘をつくようになったのか
    • 今回のお話の舞台は日清戦争後の新潟県、メインテーマとなるのは宇佐美と鶴見の絆であり、これにより鶴見が如何にして甘い嘘をつくようになったのかが語られる。鶴見中尉は青年時代にロシアへ潜入捜査していたことがあり、その時に現地で妻子を持ったが、テロに巻き込まれて死亡してしまう。鶴見は妻子の復讐に囚われており、北東アジアが日本領になれば彼らもまた自分の土地で死んだと言えるため、満洲進出に強いコダワリがあったのである。そのために鶴見中尉は自分の野望を達成するためには何が必要なのかを考えており、その手段として、自分のためなら殺人を厭わない部下を作ることを目標の一つに掲げる。そのきっかけとなったのが、日清戦争の経験と宇佐美の暴走であったのである。

鶴見の言葉が存在理由だった宇佐美はそれを否定されたため殺してしまう
  • 殺人への罪悪感が無い宇佐美
    • 日清戦争において鶴見は訓練された兵士が発砲せず殺人を躊躇する場面に何度も出くわすことになる。そしてこれはアメリカの南北戦争でも同じであり、兵士には殺人への強い罪悪感があることを知る。この罪悪感を払拭させ、いつでも躊躇なく引き金を引けるようにするにはどうすればいいか。殺人への抵抗感を飛躍させるものは何かについて考えることになる。ここで宇佐美の暴走事件が発生。宇佐美は貧農の子弟であり、真面目で礼儀正しい少年で、いつも笑顔を絶やさなかった。だが彼は辛抱強かっただけであり、鶴見から貰った言葉だけに縋って、貧農の境遇に耐えていたのであった。そんな宇佐美にとって邪魔な存在がおり、それは第二師団の将校の息子であり、柔道で自分に勝てないくせに絡んで来ては、鶴見との情交の時間に割って入るのであった。だが宇佐美には鶴見から貰った言葉があったので、彼を許すことができていた。

宇佐美の行動から、自分への愛が殺人への罪悪感を飛躍させると気付いた鶴見
  • 宇佐美のような人材を意図的に育てるには
    • だがついに宇佐美の堪忍袋の緒が切れる事件が発生する。真面目で礼儀正しく温和だと思われていた宇佐美だが、地雷はあらぬところにあったのだ。鶴見が将校の息子に対し宇佐美より強くなると言ってしまったがために宇佐美は静かにキレていた。そして気乗りしない宇佐美に乱取りをさせてしまったため、宇佐美は相手を殺してしまったのだ。親友かのように思われていた二人であったが、宇佐美は全然そんな風に思ってなくて、怨恨の対象と見なしていたのである。ここで鶴見は殺人への抵抗感を持っていない生まれながらにしての戦士の存在を知ると共に、自分への愛情があれば殺人の抵抗感を払拭させ躊躇なく人を殺せるのだと知る。以上により鶴見は宇佐美を重用するようになると共に、甘い嘘をついて自分のためなら殺人を厭わない腹心作りをするようになった。月島や鯉登や尾形もその対象であったというワケ。しかし鶴見中尉の本意は死んだ妻子にあるため、元から鶴見を信奉する宇佐美以外は、甘い嘘が解けていくというのが鶴見陣営の面白さの一つなのである!!!
第七師団で待ってるよ!
宇佐美が腹心に育て上げようとした4人の人物
宇佐美以外は鶴見中尉の「甘い嘘」が解かれていくのが面白さの一つ