【感想】ゴールデンカムイ4期10話「鶴見に縋るしか生存理由を見いだせなかった月島が谷垣の出産を通して鯉登の善性に触れ救済される」

月島基回。月島は初恋相手をいつまでも慕っており鶴見中尉にその恋心を弄ばれたことで疑念を抱いていた。
鶴見中尉は自分のためなら汚れ仕事を厭わない腹心を作るために甘い嘘をつき他者を利用していたから。
そのような状況の中、谷垣は女に子どもを産ませ第七師団から外れマタギとして自立の道を歩もうとしていた。
私情による軍からの離脱を認めれば規律違反となり軍紀が乱れる為許せるものではない!と表面的には描かれた。
だが月島は初恋をいつまでも引き摺っている純粋な所があり女と幸せになる谷垣を許せなかったのかもしれない。
しかし谷垣の娘の出産を一緒に手伝い、鯉登少尉の善性に触れたことで、月島軍曹に変化が訪れる。

谷垣源次郎回と見せかけた月島軍曹回

腹ボテのインカラマッを連れ、アシㇼパのフチを頼る谷垣源次郎
  • 谷垣の逃走劇として見ても面白い
    • 人間が生きるには何か目的意識とかが必要で、生存理由を失っていた谷垣は二瓶によりマタギの精神を呼び戻され、アシㇼパをフチのもとに返す事が自分の役目だと見出すようになった。だが生存理由など思い込みの一種でもあり、道中インカラマッと関係し孕ませてしまっていたことが判明する。谷垣は役目も何もかもすっぽかし唯々愛する女とまだ見ぬ娘の為に行動してしまうのであった。軍紀違反を許さない鬼の軍曹月島基は谷垣の行動を許容できるわけがなく、谷垣が月島の執拗な追跡から逃れようとする、というのが今回の大まかな流れである。

 

鶴見中尉にその純朴な恋心を利用されてしまったことで疑心暗鬼になる月島
  • 月島基が抱える苦悩
    • だがしかし、今回の主役は何と言っても月島基。彼は純粋な男であり初恋をいつまでも引き摺っていてその恋心を鶴見中尉に利用されたことで疑念を抱き続けていた。それでも月島は仕事に生きるしかなく、軍曹の役目が彼を活かしていたのであった。女の為に脱走兵となろうとする谷垣に対しても、単なる規律違反ではなく、軍を放棄して女と幸せになることが赦せなかったのかもしれない。腹ボテ女を連れているとはいえ一流のマタギである谷垣に対し、月島は薬品によるデバフを受けているとはいえ、優勢を誇るのである。

 

谷垣の出産に巻き込まれる月島軍曹と鯉登少尉
  • 月島基を救済する鯉登音之進
    • そんな月島に変化をもたらすのが、谷垣の出産と鯉登少尉の善性。月島が谷垣を追い詰めた先はアシㇼパの故郷のコタンであり、そこでついに赤ちゃんが生まれる。月島たちはその出産に巻き込まれることになりフチを筆頭とする女たちの勢いに押されて、アイヌ式出産の手伝いをすることになる。新しい命の誕生の神秘を知った月島。さらにそこで鯉登の善性に触れることとなる。鯉登もまた谷垣と同じように鶴見の甘い嘘に騙されていたわけだが、鶴見に利用されたとはいえ結果的に救われたことには変わりなかったのである。鯉登は鶴見が私腹を肥やしたり権力欲などで動く人物とは到底思えないと言い、前向きに信じることにしたと述べるのである。それは鯉登がボンボンから来る人の良さだったのかもしれない。だが鶴見中尉を信じる私を信じろという鯉登の言葉は月島の救いになったのである。これにより月島は金塊争奪戦を生き抜き生涯を鯉登の右腕として尽くすことになった。また鶴見中尉のその目的として「指の骨」が挙げられ、鶴見の行動原理が死んだ妻子の弔いのためであることの伏線が張られた。
鶴見中尉を信じる鯉登少尉を信じろ!
鶴見中尉の目的とは死んだ妻子が眠る北東アジアを日本領にすること
産婆として力を発揮しアシㇼパに会えなくても元気になったフチ