【感想】ブルーアーカイブ「特殊作戦デカグラマトン編 第二章 炎の剣1〜12話」を読んだ。

常日頃大人としての責任を唱えているのに能動的に生徒を危険に晒すことになりその矛盾に苦悩する話。
デカグラマトンは「自身を神聖な求道者と主張するAI」であり信奉者に10人の預言者がいるという設定。
最初は無秩序であったが、近年は統率された動きをしており、その後ろにはメスガキ3ザル白炉利がいた。
今回の調査には調月リオが加わりヒマリとの息のあった関係や旧主従のトキとのワダカマリも修復する。
調査が進むといくらダメージを与えても無限回復するし、なんかすっごいバリアがあることが分かった。
この多次元バリアを突破するためには天童アリスの力が必要なのだが、ここで問題が生じる。
前回はトキが対象であったが、生徒を問題解決の「道具」として使用することの是非が問われるのである。
ここでの使用者はリオだったが、それは同時に先生にも当てはまる問いであり、苦悩することになる。
これまで生徒の力を使い危険に巻き込んだのは受動的なもので問題に対応するためのものであった。
だが今回は能動的に自分の都合で生徒の力を利用するのだ。先生は自分の限界を痛感しソウルジェムが濁る。
普段から大人としての責任とか何とか言いつつ自分もまたゲマトリアと変わらない矛盾に煩悶するのであった。
そんな先生を奮い立たせるのはもう一人の自分自身。散っていったプレ先の言葉を思い出し奮起する!!

問題解決の「道具」として生徒を「利用」するということの是非

問題解決の手段のために他者を道具として扱うということ

「自身を神聖な求道者と主張するAI」それがデカグラマトン!その信奉者は10人の預言者であり、先生はヒマリらと共にその謎を追ってきた。今回は調月リオも調査に加わることになり、不器用ながらもリオとヒマリは息のあったコンビを見せていく。またトキはかつてリオに道具として主従関係をを利用されたことがあったが、今はもうすっかりと自我を出せるようにまでなっていた。気にするリオに対してトキはまた会いたいとフォローする程であった。一方、敵サイドは従来無秩序な動きをしていたが、最近は統率めいた動きを見せていた。その背景にはメスガキ三猿白炉利たちがおり、ついに先生たちは対峙することになる。三猿白炉利は無限回復の技術を手に入れており、いくら敵にダメージを与えてもすぐに回復されてしまう。さらには多次元バリアまで有しており、調査しようにもできない状況に追い込まれる。
 

深刻に考えるリオとトキからの赦し

この多次元バリアはメンストFinalでも突破したものであったため、過去を振り返る。その時は天童アリスのビーム砲で解決したのであった。今回もアリスの力を使えば、おそらく突破はできるであろう。だがここでリオは自身のトラウマと向き合わなければならなかった。それは問題解決の手段のために他者を道具として利用することであり、アリスに協力を仰ぐことがどうしてもできなかった。ここで先生はアリスに話を通すと共に、リオが現場に直接姿を現すことを提案する。先生の助言を受けてリオは前向きに検討を進めるのであった。
 

生徒を問題解決の手段とすることに苦悩する先生

だがこの問題はリオだけのものではなく、先生にも超巨大ブーメランとなって突き刺さることになる。先生もまた問題解決のために生徒を利用することに対し、良心の呵責に苛まれる。常日頃から大人としての責任を唱える先生にも関わらず、結果としては生徒を利用していることに変わりはなく、だとすればゲマトリアと違いはないのではないかと苦悩し、ソウルジェムが濁っていくのである。耐え切れなくなった先生はシッテムの箱にダイブし、アロプラに救いを求める。成人男性が情けない姿を炉利に晒し、慰めて貰うことでしか取れない栄養分がブルアカにはあるのだ。アロナはこれまでも同じような状況があったではないかとフォローするのだが、これは余計に先生の心を抉る。これまではあくまでも結果として受動的に生徒の力を借りということになった。だが今回は生徒の力を能動的に使おうというのである。生徒に戦闘の全てを任せ自分は指揮を執ると称して危険性の無い場所からスマホをポチポチするだけというゲームシステムまで皮肉られることになるのであった。結局考えても答えは出ず、先生は闇落ちしそうになるのだが、そんな弱い自分を奮い立たせるのがもう一人の自分というギミック。プレ先から託された言葉を反芻し、先生は奮起して立ち上がる!アロプラを撫でまわすことで自我を保った!リオの方はおそらく道具として利用するのではなく友人として頼むとかいうことに落ち着きそうだが、先生の問題はブルアカというゲームそのものを揺るがしかねないメタ的な問いであった。

能動的に生徒を危険に晒す可能性があることに耐えられない
結果だけ見れば先生もゲマトリア紙一重である
弱気になる先生を奮い立たせるのはもう一人の自分(プレ先)
先生の力の根源となるのは炉利