RIDDLE JOKER「二条院羽月シナリオ」の感想・レビュー

ステレオタイプの依存系拗らせ女子がとてつもなくめんどうくさい豆腐メンタルヘタレっぷりを披露する話。
普段生真面目に生きているが故に、少しのことでも失敗するとすぐにアイデンティティクライシスさ。
キャラ造詣としては野良猫ハートの黒木や大図書館の玉藻に通じる雰囲気があるかもしれない。
最後は二条院さんが杓子定規に固執するのではなく柔軟性やファジーさを学んで幕を閉じる。
しっかし、あれだけ「傘」がモチーフになっているのに使用する機会が「時代劇ごっこ」をする時だけとは・・・

二条院さん√各章の概要


  • Chapter4 父親への誕生日プレゼントを一緒に選んで欲しいと二条院さんは言った
    • くっころでお馴染み、ネタキャラ化している二条院さん劇場のはじまりはじまり。フラグ構築の第一歩は一緒にお出かけする所から始まります。これにより二条院さんの人となりが分かるのですが・・・わぁい!ネタキャラ路線まっしぐらだよぉ!!父親が警察であることから国家権力の暴力装置を無条件に正義と信じ込んでいる二条院さんかわいい!!さらにキモカご当地キャラ、時代劇、和食などが好きという設定かわいい!!!担当ライターさん自身が本当に時代劇が好きで、造詣があって、その魅力をテキストで描きたい、というのであれば良いのだけれども、なんかキャラ設定のために「そういうのを好いている自分が好き」的な人物像にさせられてる感じが半端ない二条院さんかわいい!!!!
    • で、二条院さんがひとり殺陣ごっこをしているのを見てしまった主人公くんは、二条院さんから演武を見せてくれとねだられます。見せてくれないと不機嫌になるよ!ぷんすこ!!と迫られた主人公くんは二条院さんに見せてしまいます。するとどうでしょう。体験版でも語られていましたが、二条院さんが正義とか言い出したのは父親からの影響だけではなく、幼少期に不良にたかられていたところを助けてもらったこともその原因として大だったのでしたね。モチロン、その時に助けたのが我らが主人公くんであり、主人公くんの演武をみた二条院さんはピンときてしまうのでした。主人公くんは当時二条院さんを助けようとしたのではなく、暴力が正当に振るえれば何でもよく正義とか一ミリも考えていなかったため、なんだか後ろめたくなってしまうのでした。


  • Chapter5 二条院さん、ママの助言に従い主人公くんの人物像を探る
    • 二条院さんは主人公くんに惹かれていき、アレコレとかまってかまってと寄ってきます。プールでのピンチの際に御姫様抱っこで助けてもらったり、主人公くんに組手を挑んで完膚なきまでにされたりします。そしてこの戦いを経て、ついに主人公くんは幼少期に二条院さんを助けたことを認めてしまいます。そうなんです、二条院さんが惚れている白馬の将軍様は主人公くんだったのです。二条院さんは主人公くんとの距離を近づけたいのですが、女子力2であるため何をしたらいいか分かりません。母親との関係が良好な二条院さんはママに電話をかけて、アドバイスをもらうのです。そもそも相手によってアプローチの仕方は変わるのだから、ホレた相手がどんな人なのか知りなさいと。この助言により二条院さんは主人公くんがどんな人物なのか全然知らないことに気付きます。こうして二条院さんによる主人公くんの調査が始まったのです。二条院さんは自分が他人からどう見えているのかにも気付かずストレートに主人公くんの所にやってきてアレコレするのでした。フロチャで確認できるサブタイでは「隠れ婿試験」とか言われています。


  • Chapter6 二条院さん、豆腐メンタル〜少しのことが上手くいかないとすぐに世界の破滅のように感じられる〜
    • 二条院さんが杓子定規であり、どんな規則であれ規則そのものを守る事が大事と考える少女です。つまり手段の目的化。法や規則、規範やモラルや道徳というものは、個人が社会を生きていく中で集団や他者と円滑に生きられるように設定されたものです。当然、時間経過や市民意識、シティズンシップの向上により時代やエートスにそぐわなくなったり制度疲労を起こしたりするでしょう。すなわち規則は相対的なものであり絶対的なものではないのです。しかし二条院さんは規則を守ることにこそ美意識を見出しており、大変面倒な性格をしているのです。さらに二条院さんは豆腐メンタルであり、普段失敗しないように真面目に生きているからこそ、少しのことでも上手くいかなくなるとすぐに落ち込みます。うん結構わかる気がする。
    • そんなわけで二条院さんは正義感を翳して、悪さをする不良少年に注意をするのですが、アッサリと暴力に屈服することになるのです。シナリオ上、そこへ主人公くんがやってきて不良を倒すのですが、二条院さんはドンヨリとするのです。思い起こさば、十数年前。幼少期における主人公くんとの出会いです。二条院さんが街でヤンキーに絡まれていたところを主人公くんが救ったのですが、その時も二条院さんは豆腐メンタルクラッシュしていたのです。幼少期の二条院さんは努力家であったこともあり「自分は良い子」であることを拠り所として生きていました。しかし完璧な人間など存在せず、二条院さんは母親が大切にしていた食器を割ってしまうのです。それを父親に咎められた時、悪い子である自分を受け容れることが出来ず、知らぬ存ぜぬを決め込み、罪を認めようとしません。それは罪を認めればアイデンティティ崩壊を起こしてしまうからでした。
    • そうなんです!二条院さんは幼少期からまるで成長していない・・・。それでも救いなのが、二条院さんは自分で自分の性格を把握していること。安直な正義感を翳して問題を起こす面倒くさい女、それが自分なのだと。二条院さんがここからどのように成長するか、楽しみですね。Chapter7へ。


  • Chapter7 二条院さん、ヘタレ
    • 二条院さんは主人公くんへの好意を抑えきれなくなり、恋人になりたいと願います。そのため恋文を書いて渡すのですが、主人公くんは任務があるために迂闊にイエスとは言えません。それゆえ答えを保留するのですが、ここからが二条院さんのヘタレっ子タイム。二条院さんがヘタレな様子を充分にご堪能ください。主人公くんに受け入れられないのは自分の魅力がないからだとドンヨリし、メインヒロインにも泣きつきます。さらに男なら他にもいるじゃないと助言しても主人公くんじゃなきゃイヤ〜とか言ってふぇ〜っとなります。メインヒロインは自分が良い人アピールしようとしたら明らかに変なのに絡まれたぞと主人公くんを恨みます。
    • 主人公くんは仕事があるから恋愛できないと思っていたのですが、これはご都合主義的に解決します。なんと二条院家の方から娘が惚れている人物の素行調査を仕掛けてきたのです。主人公くんの養父や組織も二条院家なら安心だね☆ということになり、逆スパイとして主人公くんが如何に有能な逸材であるという情報を二条院家に流すのでした。
    • こうして主人公くん、何もせずに組織からアッサリとOKを貰いました。これで二条院さんの告白に応えられるぜ!と思いきや、二条院さんははぐれメタルばりに逃げまくります。エンカウントしてもソッコーダッシュ。意を決して二条院さんを追いかけて捕まえると、どうせ断られるなら返事を聞かずに淡い期待を持てていた方が良いんだ〜とかヘタレっ子っぷりをここでも発揮。観測すると事実が確定してしまうから可能性を並立しておきたいんだ展開。シュレディンガーもびっくり。そんなわけでヘタレな二条院さんにはグッと押し込んであげましょう。主人公くんは壁ドンで告白の返事をかまし、フラグが成立するのでした。


  • Chapter8 イチャラブ回 〜二条院さん、依存度高すぎ〜
    • 封建的な女性像を理想とする二条院さんは、一種の依存ともいうべき態度を主人公くんに向けてきます。もっと主体性を持とうよ!二条院さん!!三歩下がって主人に合わせるというスタンスに主人公くんもちょっと辟易気味。フラグ構築ではあんなにも自分の趣味を押し付けてきたのに!!とちょっとビビります。しかし夢見る乙女でもある二条院さんはイチャラブシュチュエーションに強い関心を抱いており、ホントウは腕組みをしたりスキンシップを図りたいお年頃。さらには性的なことにも興味津々であり、初夜の場面では直接的な描写はありませんが自慰に耽っていたことをカミングアウトしてくれます。
    • 基本的に8章はイチャラブ回なのですが、印象的だったのは肉オンリー茶色弁当ですかね。サノバウィッチの主人公くんがヒロインのために作ろうとして父親に止められて結局はロコモコ風弁当になったという経緯を持つ、あの茶色弁当がまさかのリドルジョーカーで再来。しかも今度はヒロインが茶色弁当を作ってくるというパターンです。イロドリを考えるのを忘れたー!とシマッタする二条院さんの姿をお楽しみください。弁当にはパセリ・ブロッコリーミニトマト・コーンを入れると茶色ではなくなる。


  • Chapter9〜10 スパイ活劇編
    • フラグ構築、イチャラブ回とこなし、ようやく二条院さんルートでもスパイ活劇編に突入します。この√では警察に恨みを持つ人物の犯行が扱われます。軽度としては低く、警察に不当な扱いをされたため、逆恨みしているという状況です。犯人は水を媒介する異能保持者の可能性が高いとして、二条院さんが容疑者になってしまいそう。主人公くんはそれを否定するために暗躍するのですが、主人公くんが仕事を頑張れば頑張るほど二条院さんを裏切っていることに繋がるため、後ろめたく感じてしまいます。そしてお約束通り、主人公くんのミッションが二条院さんに知られることになります。嗚呼、あんなにも尊敬していた主人公くんが犯罪者だったなんて!!二条院さんはショックを隠し切れません。しかしホントウにショックだったのは、主人公くんのことを最後まで信じきれなかった自分自身に対してだったのです。
    • こうして最後まで主人公くんのことを信じようと思い直した二条院さんは、犯人とのバトルで不利となっていた主人公くんの下へと駆け付け、相手を成敗します。そして和解タイム。杓子定規に固執して自己の価値観でしか物事を図れなかったと謝罪するのでした。以上により、これまで色々と拗らせていた二条院さんは少し成長できたのでした。
    • 事件後、二条院さんは諦めていたお悩み相談室の開催を心に決めます。犯人も気軽に相談できなかったからこそ、犯罪に走ったのではないか?と考えていたから。これが二条院さんの夢を追いかける第一歩となり、エピローグではこれまた断念していた警察官になる夢を叶えたのでした。めでたしめでたし。