ウマ娘「メジロパーマー」シナリオの感想・レビュー

一見明るく朗らかそうに見えて実は凄まじい家柄コンプレックスを拗らせている少女を解放せよ!
これはパーマーがメジロの規範という呪縛から解き放たれ、自分という個性を手に入れる話である。
パーマーは美しく整ったフォームをしていたがその走りは息苦しさを感じさせていた。
故に選抜レースでも最下位に終わりメジロとして醜態を晒したことに恥辱を感じる。
だが自分等誰も気にしておらず完全な独り相撲であったことに気付き浮かれフルーツポンチ。
精神崩壊しかけるパーマーだが、それを救う人こそ我らが主人公トレーナーであったのだ!
パーマーの心意気をフリーレースで発露させダイタクヘリオスと共にパーマーを解放させる。
フラグ成立後、パーマーは主人公が「自分の」トレーナーであることを強く意識していく。

メジロパーマーのキャラクター表現とフラグ生成過程

メジロアイデンティティクライシス
  • 家柄アイデンティティがクライシスし、自分という個性を確立する
    • パーマーはメジロ家の一員であり自らもその家名を誇りにしてターフに立っていました。しかしパーマーは惨敗。メジロ家の家名を汚したとして恥辱に塗れますが、そんなパーマーのことなど誰も気にしていなかったのです。メジロであると思い込んでいたのは自分だけ。とんだ浮かれフルーツポンチだよとばかりにパーマーは精神崩壊を迎えます。そんなパーマーを支えることになるのが我らが主人公トレーナー。彼はパーマーの走りを見て、とても整った美しいフォームだけれどもどこか堅苦しく自分を抑え込んでいるように見えたのです。こうして主人公のパーマーを支える日々がスタートしたのでした。ちなみに最初にトレーナー業の悩みをパーマーに聞いてもらっていたのがトレーナーであり、立場の逆転現象が起こるところが本シナリオの面白ポイントとなっています。

  • 家柄からの解放~フリーレースの草試合とダイタクヘリオスの影響~
    • まず初めにパーマーを解放させる要素となるのがフリーレース。これは競技者人生以外の道を選んだけれども走ることが好きなウマ娘たちが開いている草試合。パーマーも飛び入り参加することになるのですが、そこは最初から家名に関係なくパーマー個人を見てくれる場所であり、パーマーはレースで感情を発露させることの喜びを覚えます。次に重要なのがダイタクヘリオスの存在。パーマーは草試合では感情を解放できてもトレセン学園では長く染みついたメジロの習慣を捨て去ることが出来ずにいました。そんなパーマーの固定観念を打破するのがダイタクヘリオスであり、感情剥き出しでレースをするその姿に感化されるのでした。日常生活でヘリオスの行動原理を学ぶパーマーは良家のお嬢様がギャルになることで自我を解放する過程でもありグッとくる展開です。感情を解放し爆逃げを磨いたパーマーは見事勝利を収めてフラグ成立。

  • 担当ウマ娘としてではなく「パーマー個人」としての尊重
    • フラグ成立後、パーマーは如何にトレーナーが「自分」を見てくれているかを自覚し、乙女化していきます。元々パーマーは頼れる姉御肌気質であり、他者のために尽くすことを苦にしませんでした。そのため人望も厚く、パーマーが担当なんてトレーナーさんが羨ましいとまで言われる程でした。しかし事実は逆で当初こそパーマーは悩んでいた主人公を解きほぐしましたが、契約後はパーマーが支えられていたのです。パーマーを爆逃げさせる戦法について否定的な意見を言われるトレーナーを見て、パーマーは自分を殺そうとしますが、トレーナーはパーマーを全肯定してくれるのです。その後も自分に尽くしてくれる主人公の姿を見たパーマーは、当初こそトレーナー業という仕事として担当ウマ娘である自分のために頑張っていると思い込んでいたのですが、「パーマー」という個人だからこそ、その為にトレーナーが頑張っているのだということを実感するに至ります。パーマーがそのことを自覚するシーンは破壊力バツグン。トレーナーに対して淡い想いを発露するパーマーの様子をお楽しみください。

メジロパーマーキャラスト名場面集

フリーレースによる感情の発露
ダイタクヘリオスの奔放さという救済
メジロ家という家柄か、パーマーという個人か
爆逃げによるアイデンティティ確立
自分の中のほのかな感情に気付いてしまったパーマー
トレーナーが「担当ウマ娘」としてではなく「自分」を尊重してくれることを自覚するパーマー
トレーナーに個を認められ感涙するパーマー