アマカノ2「蔦町ちとせ」シナリオの感想・レビュー

幼馴染関係性変化。今まで弟扱いしていたが取られそうになり喪失感を意識する。
「幼馴染のお姉ちゃん」という地位に安住していたが故の焦燥感をとくと見よ!
典型的な関係性変化モノだが「嫉妬心」と「未来への不安」で差異化を図っている。
キーアイテムとして使用されるのが「手紙」のやり取りで、心の交流を表現。
近くにいて毎日会う幼馴染だからこそ手紙を書くことで特別な想いを伝えるのだ。
何故か最後はタイムリープモノ展開となり未来のひ孫が想いを伝えに来るという設定。

蔦町ちとせのキャラクター表現とフラグ生成過程

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  • 幼馴染関係性変化
    • 蔦町ちとせは隣に住む幼馴染のお姉ちゃん。最初から好感度MAXであり仲の良すぎる姉弟として関係を築いてきました。しかしながらあくまでもそれは家族愛であり、男女間の恋愛関係に発展することは無かったのです。そんな二人の関係を変えることになるのが、転校生の結灯の存在。当初ちとせは主人公と結灯を焚きつけていましたが、もし主人公が他者と結ばれてしまったら今までの姉弟関係ではいられないことに気付いてしまうのですね。突如襲い掛かってくる焦燥感と喪失感。お姉ちゃんは弟が取られてしまうことを強く意識するのです。はい、これ来ました。古来より伝わる幼馴染関係性変化のテンプレート。やはり思い出してしまうのはto heartのあかりですね。あかりを攻略するためにはあかりの好感度を上げるだけではダメで、他のヒロインとの関係性を深めることが必要。それによりあかりがひろゆきちゃんへの好意に改めて気づいて、幼馴染から恋人への関係へと昇華するというギミックが構造上取られています。
    • じゃあなんすか?ちとせ√は幼馴染関係性変化モノのn番煎じだっていうんすか?という疑問を抱くのも最もでしょう。しかしそこはホレ、お姉ちゃんの嫉妬心がコミカルに表現されていたりとか、関係性が変わってしまうことへの未来への不安だったりとか、そういった要素できちんと味付けされていますので、ご安心ください。個人的には幼馴染√では過去編を描けるというアドバンテージがあるのでくらやみ坂でのエピソードだけでなく幼少期編における心の絆もあると良かったかと存じます。いや、くらやみ坂での炉利ちとせも結構好きですが。

 
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  • 手紙のやりとり
    • 本√を特徴づけるのは手紙でのやりとりです。ちとせが主人公を喪失してしまう焦りを感じるのも主人公が恋文を貰ったと勘違いしたことをきっかけとしています。このデジタルの時代だからこそ、直筆での手紙が想いを伝えるための重要な要素となるのだ!と言わんばかりに、以降、二人が関係性を深める時には手紙が用いられていきます。1回だけでじゃないっていうのが良いよね!ちなみに某ま~まれぇどの作品では製品版の箱の中に「リアル手紙」を入れるという仕掛けがしてあったことを思い出してしまいました。また手紙を書くのはちとせだけでなく主人公もまたちとせに想いを伝えるために手紙を書くので、このやりとりにほっこりくるのです。
    • 作品の最後を締めるのも手紙のやり取り。ここではタイムリープモノを取ります。主人公とちとせが見た映画を再現するという手法を取っています。ちとせは来年から大学に進学するため、主人公とこれまでのようにはいられないことから未来に対して漠然とした不安を抱くようになります。この「将来に対する漠然とした不安」に対して、主人公は未来からひ孫がやってきて手紙を渡すという体裁を取り、未来でも幸せが待っていることを予感させるのです。

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