雑録

戦間期【2】ソ連の社会主義国家建設

(1)ソヴィエト政権の危機

  • ①内戦
    • 赤軍(革命政府軍)…1918年1月に設立され、トロツキーによって拡充されたソヴィエト政権の軍隊。十一月革命中に組織された赤衛隊が前身。内戦や干渉戦争の主力軍となる。
    • 白軍(反革命派勢力)…ソヴィエト政権に反対する勢力が結成した軍の総称。地主・貴族や反ボリシェヴィキの諸勢力が結集し、英仏の支援を受けた。赤軍と激戦を展開する。
  • ②対ソ干渉戦争
    • 内戦と一体となって行われた外国軍の軍事干渉戦争。1917年12月、英仏両国は秘密協定を結んで、反革命派を支援。18年4月からロシア領に侵入、8月には日米がチェコ軍を救出を口実にシベリアに出兵した。

(2)革命の防衛

  • ①世界革命論…ソヴィエト政権が永続し共産主義革命が成功するためには、世界各地で革命が起こされ、いくつもの社会主義政権が成立・並存することが必要だという理論。
    • コミンテルン…1919年、世界の共産党などの左翼勢力が。ソ連共産党の指導を受けてモスクワで結成した組織。世界に共産主義革命を波及させる目的で設立したが、ハンガリー、ドイツなど敗戦国での革命は長続きせず、世界革命の期待は破れた。
      • ドイツ:ローザ=ルクセンブルク、カール=リープクネヒトらがスパルタクス団を結成し、1919年初めに各地で武装蜂起したが鎮圧された。
      • ハンガリー:ロシア革命の影響で1919年クン=ベラがソヴィエト政権を樹立したが、保守的な軍人ホルティが圧殺した。
    • ソヴィエト-ポーランド戦争…赤軍ワルシャワ近くまで進出して世界革命論が有望視されたが、赤軍は敗れ、世界革命論は現実味を失った。
  • 反革命運動取り締まり
    • チェカ…非常委員会。十一月革命直後の1917年12月、革命政権を防衛するために設置された治安組織。反革命サボタージュ・投機活動の取り締まりを任務とした。内戦が終結した22年に国家保安部(GPU)に改組された。
  • ③生産性低下への対処
    • 戦時共産主義…1918~21。内戦期にソヴィエト政権がとった経済政策。総力動員を目的に、中小工場の国有化、賃金の現物支給、農産物の強制徴発、労働義務制と食料配給制などをおこなった。

(3)戦時共産主義からネップへ

  • 赤軍の優勢
    • 農民:白軍の勝利による地主制の復活への不安 + 外国軍に対する民衆のナショナリズム的反感
  • ②ネップ (New Economic Policy) 1921-1928 戦時共産主義で低下した生産力の回復を目指す
    • 余剰生産物の自由販売許可、農産物の強制徴発廃止、外国資本導入、中小企業の私営許可
      • →生産力は大戦前の水準に回復、小ブルジョワジー(富農のクラーク、新たな資本家ネップマンの出現

(4)ソ連結成

  • ソ連の国交樹立
    • 独とソのラパロ条約(1922)に始まり労働党内閣の英国が1924年に正式承認し、伊・仏(1924)、日(1925)と続いた。米は1933年まで承認を拒否した。
    • ※イギリスは1921年3月に英ソ通商協定を結んでおり、実質的にソ連を承認していた。

(5)第一次五カ年計画

  • ②1928~1932年: 第一次五カ年計画
    • ネップに代わって工業化の推進による社会主義建設を支持
    • 農業の集団化と機械化
      • 集団農場(コルホーズ):土地・農具・家畜を共有する農民の共同農業経営組織
      • 国営農場(ソフホーズ ):農業経営のモデルとなる国営の大規模農場
      • 集団化に抵抗する多数の農民を逮捕、投獄し、生産物の強制供出を実行。1932~33年には農民に多くの餓死者が出たが、集団化はほぼ完了した。

                     

(6)スターリン体制

  • ①内政
    • スターリン個人崇拝…古くからの指導者、反対派に根拠のない罪状をきせ、大量に投獄、処刑。独裁的権力を強める。
    • 第二次五カ年計画(1933~37)…第一次五カ年計画では餓死者がでたことから消費財生産へ配慮。だが国際情勢が緊迫し、結局は重工業・軍需工業に重点が置かれた。
    • スターリン憲法(1936)…平等、飢えからの解放、社会主義の実現をうたい、民主的な諸規定が整えられたが、実際には市民的権利が保障されず、民主主義からは程遠かった。

(7)東欧・バルカン半島情勢

  • ポーランド
    • 1920年ウクライナに侵入してソヴィエト政府と戦争を起こして領土を拡大。国内の議会政治は早くから混乱し1926年、独立運動の指導者ピウスツキがクーデタで実権を握る。
  • バルカン地域
    • セルビアなどの南スラヴ系民族がセルブ=クロアート=スロヴェーン王国にまとまる。29年;セルビア人とクロアチア人の対立を抑えるため国名をユーゴスラヴィア(南スラヴ族の国)に改称
  • チェコスロヴァキア
    • 東欧唯一の工業国で議会制民主主義が確立したが国内に少数民族問題を抱えていた。