雑録

冥契のルペルカリア体験版(第一幕・第二幕)の感想・レビュー

青春演劇モノ……と見せかけて死んだはずの妹の幻影が具現化するファンタジーモノ。
第一幕は役者を諦めた元子役の主人公が親友の少女の為に劇団の入団試験に挑む演劇モノだが…
第二幕に入ると現実を舞台にして虚構が演じられるファンタジー展開へと突入する。
ノベルゲーで多用される「存在忘却」モノの解決を通して主人公の過去を回収。
妹ギミックの謎解きにより主人公の妹が天才役者「折原氷狐」(死亡済み)だったことが判明する。
しかし、だとすると現在今いる折原京子の存在は何なんだ!?という所で体験版は終幕する。
ルクル先生のシナリオは非常に素晴らしく第一幕は単体で完成度高いので是非プレイして欲しいな。

【目次】

第一幕「魔性の真紅」

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  • 劇団入学試験のため江戸川乱歩の「赤い部屋」を演じる話
    • 【1】主人公は元演劇の子役。幼少の頃は非凡な才能を発揮し活躍したものの、本当の天才である折原氷狐の圧倒的な演技の前に挫折し役者を諦めることとなります。高校入学後、主人公の唯一の友達である陰キャ少女倉科双葉が演劇に興味を持ちます。役者を諦めたものの演劇そのものは大好きな主人公はこれ幸いにと、劇を見に行くことになったのです。題目は『ハムレット』であり、主役ハムレット王子を演じた匂宮めぐりの演技は双葉を感化させるには充分なものでした。こうして双葉は劇団への入門を望むようになり主人公もまた演出を目指すという名目で劇団の扉を叩きます。双葉に課せられた入団試験は脇役としての有用性を示すことであり、江戸川乱歩の「赤い部屋」を演じることが求められます。団長の意図としてはメンバーと馴染めるかどうかを見るものであり、劇団員の誰かに頼んで主役のT氏を演じて貰えばそれでよいというものでした。
    • 【2】しかしここで筆頭ヒロインである架橋琥珀が登場します。琥珀もまた匂宮めぐりのハムレット王子に感化されており、熱心に一人芝居を行っていたのでした。琥珀は自らをカラッポであると称し、その器を満たすためにこれまで演劇の役柄を繰りかえし練習し自らに取り込んできたのだと言います。この琥珀を主役のT氏に据え、「赤い部屋」は演ぜられることとなるのです。ここで主人公の子役時代の過去に触れられ、主人公もまた子どもながらにT氏を演じたことがあり、その記録映像を見ることで琥珀が主人公を食らうという表現になっています。文字通り役になりきる琥珀から、双葉は役を演じるのではなく役に話しかけてと言われます。しかしそれは双葉にとっては冒涜そのものでした。脚本の台詞を演じることこそが役者なのにそれを放棄したら存在意義などないも同然。双葉はもともとの脚本通りの台詞を演じることに勝負をかけます。結果として劇全体の評価は低くなったものの、双葉は自己を示すこととなり、入団試験の基準をクリアすることとなったのでした。無事に入団が決まってよかったね!双葉の雑草魂は偏屈な団長に買われることとなり、琥珀の実力は匂宮めぐりに気に入られることとなりました。ここまでの展開は自分たちのコダワリのある演劇を目指す青春群像モノというノリですが、第二幕はガラッと変わり、ファンタジー要素が濃くなってきます。

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第二幕「紺碧の存在証明」

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  • 存在忘却モノとダブル妹ギミック
    • 【1】第二幕はみんな大好き存在忘却!ノベルゲーではもはや一種の古典ともなっており存在忘却をどのように描くかという課題がライターたちに課せられているのです。本作の場合は、超人気アイドルであった天使奈々菜(あまつか-ななな)の存在が人々に忘れられていくという展開です。その流れの中で、かつて主人公と同じように役者を目指していながらも折原氷狐の前に挫折した箱鳥理世と、その折原氷狐と瓜二つの折原京子が加わります。
    • 【2】奈々菜イベントについては以下の通り。奈々菜はイケメン俳優が浮気した結果生まれた不義の子でした。実母は早くに亡くなりましたが、奈々菜の存在はイケメン俳優の家庭のスキャンダルの根本原因となります。イケメン俳優の正妻はアイドルあがりの芸能人であり、俳優志望の嫡男もおりました。正妻はマスコミへの体面上、奈々菜を家庭に迎え入れることになり、表面的には奈々菜を溺愛するフリをし続けます。ファッションや化粧などを指導して莫大なカネを費やしその容姿を磨かせSNSでバズらせてグラドルとして仕立てあげていきます。奈々菜が成長し、義母の演技を本当の母性愛だと勘違いする程の時間が流れた頃、ついに梯子が外されることになります。これまで奈々菜に注がれた義母の愛は愛などではなく、全て嫡男が芸能界で成功するためのエサに過ぎませんでした。すなわち俳優である嫡男が役を獲得するための「枕営業」要員としてこれまで育成されたことが明らかになったのです。あわや処女を散らしてしまうという直前で主人公の助けが入り危機から救われるという結果になります。
    • 【3】この奈々菜事件が、ダブル妹ギミックに繋がっていきます。奈々菜を助けた主人公でしたが、死んだ妹の代替として、奈々菜=自分の妹だと思い込むようになります。主人公が役者を辞めた理由として何度も折原氷狐のことが挙げられていましたが実はこの折原氷狐こそが主人公の妹「瀬和未来」であったのです。主人公は奈々菜のことを未来として認識し、自分さえも騙してきていたというオチとなります。主人公にとって、瀬和未来すなわち折原氷狐は目の上のタンコブであり、その驚異的な演劇の才能は数多の共演者を叩き潰してきました。そして演劇の舞台であるにも関わらず、カリグラ帝の死を演出するために本当に自殺をすることで歴史に名を刻み、その凄惨な死は主人公の役者人生をも終焉させたのでした。幼少期において主人公と未来の仲はすこぶる悪いものであり、敵対していました。そのようなトラウマがあったからこそ、主人公の理想的なイモウトに奈々菜はうってつけだったのです。枕営業を拒んだ結果、どこにも行く先の無かった奈々菜は、主人公の妹になることを望んだのでした。
    • 【4】こうして奈々菜が存在忘却を望んだ理由とダブル妹ギミックの意図は明らかになりました。しかし、まだファンタジー展開の謎は残されています。奈々菜が自分の存在忘却を望んだからといって、なぜそれが現実で発動するのか。また、本来なら死んでいるはずの折原氷狐が折原京子の名を騙って主人公たちの前に顕現しているのはどうしてなのかetc...安直な予想では、この第二幕のシナリオ自体が実は演劇でしたという仕掛けでしょうか?
    • 【5】物語の大きな目的は、元座長であり今は亡き匂宮王海(めぐりの祖父)の想いを弔うべく8月公開予定の演劇を成功に導くこと。体験版の時点で主人公に課せられているものは、役者としてトラウマを乗り越えること(琥珀ルート)、折原氷狐問題を解決すること(奈々菜ルート)、公演のためのオリジナルの脚本を書くこと(めぐりルート)、裏方として演劇を支えること(理世ルート)の4点。製品版のシナリオがどのような展開を見せるのか今から楽しみです!

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冥契のルペルカリア感想まとめ