ひぐらしのなく頃に業 第18話「祭囃し編のその後の世界」の感想・レビュー

ひぐらし業は祭囃し編でハッピーエンドを迎えた筈なのに再びループへ陥ったという構造でした。
そして正解の選択肢を知っておりそれを辿っている筈なのに何故か抜け出せませんでした。
その原因は梨花以外に沙都子もループしており梨花の解脱を邪魔していたからだったのです。
では何故沙都子は永遠のループに梨花を閉じ込めようとしたのか?
祭囃し編のその後の世界で梨花が雛見沢を捨て去る経緯が描かれていきます

ハッピーエンドで終わった後の世界をほじくり返すというエグさ

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  • 新しいコンテンツを創出できなくなった人類が過去の名作を食い散らかす
    • 火の鳥』未来編においては、人類の進歩の限界が扱われ、諸分野で発展性がなくなって停滞し懐古厨となっていく様が描かれました。2021年現在のコンテンツ産業の界隈を見ると、まさにそんな感じ。近年は懐古ブームとリメイクのラッシュが巻き起こり、過去作の焼き直しや続編を無理やり作る傾向が見られていますが、『ひぐらしのなく頃に』も見事その餌食になってしまったと言えましょう。ゼロ年代後半にコンテンツ作品に触れていた人々は、祭囃し編ひぐらしが大団円となり綺麗に終わったことを記憶していることでしょう。ひぐらしは青春の絶頂として幕を閉じたのです……。そして2020年、完全新作としてひぐらし業が帰ってきたわけですが、そのギミックは他でもない、祭囃し編のその後の世界だったのです。嗚呼、綺麗に終わってたのにその後の世界をほじくり返すのね。
    • 祭囃し編のその後の世界では、魅音が卒業し圭一が後を継いだ雛見沢分校が描かれます。進学・進級における人間関係の再編を改めて味わう沙都子。これまでの仲良し5人組での楽しい放課後ライフは打って変わり、年下に慕われる圭一とレナの様子を見て、沙都子は次第に疎外感を覚えるようになります。そして沙都子は梨花が何かをしていることを感づいていながらも、梨花が名言を避けるため、縋るようにしていつまでも一緒にいたいと手を握るのです。しかし沙都子の思いは踏みにじられることとなります。御三家当主が綿流しの奉納演武の際に、ついにダム戦争の終結オヤシロ様の祟りの否定を声明することになるのですが……これは梨花が合法的に雛見沢を捨てて外に出ていくための布石であるかのように捉えられてしまうのですね。沙都子が雛見沢症候群を完治させたこともあり、ついに梨花が自分の願望を打ち明けることになります。これ、もっとはやくから事前にホウレンソウしておけば惨劇にならなかったんじゃーの?なんと梨花は沙都子を本屋に連れて行くと突如騙し討ちのような形でシャレオツな私立高校の過去問を見せるのでした。こうして魅音の進学、部活の変容による圭一&レナとの距離感のズレに加え、さらに駄目押しのような形として梨花の進学先が突き付けられたのです。祭囃し編のハッピーエンドはこれによって踏みにじられ、まさにサブタイトルにあるごとく「沙都子壊し編」が始まったということは第18話では語られたという訳でした。

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