ウマ娘「シーキングザパール」シナリオの感想・レビュー

富裕階層の再生産による階層格差の固定化を打破しようとするウマ娘の話。
シーキングザパールは世界中を旅行し様々な人々と交流してきた。
そこで見たものは、一見すると華やかに見える場所で搾取される労働者であった。
彼らは下層階級でいることに慣れ切ってしまい自分で可能性を狭めていた。
シーキングザパールはそんな人々の絶望感や停滞感を打ち破りたかったのである。
そのためレースではわざと破天荒な走りをし気性難と見なされてしまう。
シーキングザパールの本質を見極めた主人公トレーナーは彼女と共に歩んでいく。

シーキングザパールのキャラクター表現とフラグ生成過程

シーキングザパールのレゼンデートル
  • シーキングザパールメリトクラシーの逆説を打ち破りたい
    • シーキングザパールは破天荒な行動を取るウマ娘。高い能力を期待されながらもレースでは泥濘を嫌ったり不自然な動きをしたりして気性難と見なされてしまう。しかし彼女がそんな行動をするのは理由があった。それは「夢を見られない人々の"絶望を取り払う"こと」であった。シーキングザパールは世界中を旅してきたが、華やかな観光地でガイドをしながらも借家住まいをする下層階層のおばあさん、オイルマネーで造られた摩天楼の裏町で貧困に喘ぐ人々、能力を持ちながらも途上国に生まれて才能を活かすチャンスすらない人達を目の当たりにする。そんな人々の絶望を打破したい。それこそがシーキングザパールのレゼンデートルだったのである!私たちの社会はある種の能力主義であって進学や就職の際に競争に勝ったものが勝利する。勝者の人々は自分が勝ったのは努力したからであり、貧民は努力しなかったのだと断罪することに疑問を持たない。だがその競争は平等化というとそうではない。富裕層は時間と金をかけることができ環境を整えた上で競争に挑むことができるのだ。こうして富裕層は再生産され続け階層は固定化されていく。だがそうすると社会は次第に停滞していくのである。才能の無い人物がカネの力により受験産業でパッケージングされた人材として産出され続ける。流動性の無い社会がどうなるかは歴史が証明している。シーキングザパールはこのような絶望的なディストピアを破壊する希望として存在するのであった。
繁栄する資本主義社会の裏にあるスラム街
先進国にモノカルチャー経済され産業が育たず才能すら活かせない途上国
世界は富裕階層が勝利するメリトクラシーの逆説
固体化した格差社会を打ち破る希望の星がシーキングザパール