漫画版ウマ娘「1987-88年1月~オグリキャップ地方競馬編~」(『ウマ娘 シンデレラグレイ』1~2巻)の感想・レビュー

ゲーム本編では地方からトレセン学園へやってきた所から始まるオグリキャップシナリオ。
漫画版ではオグリキャップを主人公とし、地方競馬時代が描かれていきます。
主な題材となるのはオグリイジメ、母の愛情、トレーナーの葛藤あたりでしょうか。
漫画版ではオグリの天然が強調されておりイジメを受けるがそれすら気づかず実力で跳ね返す。
オグリの柔らかな脚力は幼少期に動かなかった脚をママンがマッサージしてくれたから。
最後は中央でのライセンスを持っていないトレーナーのエゴが焦点となる。

地方競馬編:最初はオグリイジメだったが、途中からトレーナー更生譚になった


  • オグリイジメとオグリライバル
    • 中央から遠く離れた地方競馬。そこは鎬を削るトレセン学園とは打って変わってぬるま湯の雰囲気が漂っていました。そこへやってきたのがオグリキャップ。ゲーム版では世事に疎い素直クール系大食いキャラですが、漫画版では天然っぷりにより一層磨きがかかっています。自主的に多量のトレーニングを積んでおり、いつもジャージはドロドロ。そのため悪目立ちしてしまいイジメのターゲットにされてしまいます。しかし天然のオグリは自分がいじめられているとも気づかず、平然とマイペース。同室のウマ娘に意地悪をされて物置小屋にぶち込まれても個室が貰えたと解釈し、レース直前に靴紐をほどかれても結び直して圧勝し、走行中に踵を踏まれそうになってもその脚力で吹っ飛ばします。オグリをイジメようとしていた悪役ウマ娘たちもこれには脱帽。オグリはその努力と才能でイジメをものともしなかったのでした。アニメ版もゲーム版もトレセン学園の子たちは基本的に善良だったのでオグリイジメで割とびっくり(漫画版の子たちも途中でオグリにデレますが……)。しかしゲーム版のナリタタイシン√でも、タイシン同級生からイジメを受けてたよな・・・。あと一応地方競馬時代にもオグリにライバルがいて、色々と激しいバトルを繰り広げることになります。オグリが中央に行くとき、自分は長く走り続けることでオグリと勝負するとか言ってるのは結構いいシーンだなと思いました。

 

  • トレーナー更生譚
    • ウマ娘というタイトルなのだが、トレーナーの話もやるみたい。人馬は一体。これは史実なのかしらん?(ゲーム版ではすぐにシューズをダメにしてしまうオグリのためにトレーナーがシューズをプレゼントすることがフラグ構築のきっかけとなりますが、漫画版ではオグリのお付的ポジのウマ娘スポーツ用品店の娘という設定でシューズイベントは回収されます)。漫画版トレーナーは若い頃尖っており無職ニートでした。そんな時オジサンに競馬場に連れて行ってもらいウマ娘の走る姿に感銘を受けトレーナーを目指したのでした。オグリに走行方法やレースでの駆け引きを教えたのはこのトレーナーであり、オグリはその能力を更に伸ばしていきます。しかしレースで大勝するほどその注目度は集まり、なんと中央から引き抜きを受けてしまうのです。トレーナーは地方ライセンスしか持っておらず中央にはいけないため葛藤することになります。そしてオグリに対して無茶な要求をしてしまいます。勝てば中央、負ければ東海。これまでオグリは誰かが喜んでくれるからということを走る原動力としてきました。脚が悪かったので走れること自体が奇跡であり、過去にはマッサージをしてくれたママンの、現在は自分に期待してくれるトレーナーのために走っていたのですね。そんなオグリに対して勝てば負ければという主人公はあまりにも酷だったのでしょう。走行に迷いのあるオグリを見て、途中で目覚めたトレーナーはオグリを応援しまくり。これによりオグリは覚醒し見事優勝。地方の期待を背負って中央へと飛び立つのでした。

オグリと笠松時代のトレーナー


オグリの故郷でのライバル