ウマ娘「シンボリクリスエス」シナリオの感想・レビュー

日本の競馬界に革命を起こすため米国から招聘された無口なウマ娘の理解者となる話。
米国時代のクリスエスは身体が弱い上に意思の疎通に困難があるパッとしないウマ娘であった。
だが日本からやってきたシンボリ家のスカウトを師と仰ぎ厳しい訓練をこなして実力を伸ばす。
シンボリ家のスカウトは日本のウマ娘界に革命を起こすため外国で品定めをしていたのだ。
師匠の夢を叶えたいと願ったクリスエスシンボリルドルフから招聘を受け日本にやってくる。
クリスエスは徹底した自己管理を行うため日本のトレーナーの指導に従わず気性難とされてしまう。
主人公トレーナーはルドルフからクリスエスのお世話係を託され彼女が抱く使命と向き合っていく。

シンボリクリスエスのキャラクター表現とフラグ生成過程

アメリカ時代に弱キャラであったクリスエスを育ててくれた師匠への恩義
  • 弱い自分を鍛えてくれた師匠の願いに応えることを使命とする
    • シンボリクリスエスは日本の競馬界に革命を起こすことを使命としアメリカから招聘されたウマ娘。だが無口で不愛想、コミュニケーション能力も低く、誤解されやすかった。本当のクリスエスは真面目な頑張り屋さんで素直で熱心。主人公トレーナーはクリスエスを招聘したシンボリルドルフから彼女のお世話係を任されることとなる。クリスエスの専属トレーナーについてはお試し選定が行われることとなる。主人公トレーナーはそれに名乗りを上げなかったが、お試し指導の際には毎回欠かさずクリスエスと同伴する。するとクリスエスが各トレーナーの指導にイマイチ乗り切れておらず、その原因は彼女が抱える「使命」にあることを読み解く。
    • ではクリスエスが抱える使命とは一体何なのか!?彼女が言う日本の競馬界に革命を起こすという意味の本質は、師匠の願いに応えるというものであった。かつてアメリカ時代のクリスエスは弱キャラと言っても過言ではなく、身体は弱く走りは遅くコミュ障であり自分の気持ちを他者に伝えられなかった。そんなクリスエスを変えてくれたのが、日本からやってきたシンボリ家のスカウト。彼はクリスエスと向き合い、クリスエスもまた厳しい訓練に良くついて行った。クリスエスは次第に師匠に惹かれるようになり、彼の帰国の際には行かないでと初めて自分の気持ちを他者に伝えることが出来るようになったのである。無論、スカウトはクリスエスの稚気に応えることなどできなかったのだが、日本の競馬界に革命を起こす夢をキラキラと語ったのであった。これを受けたクリスエスは師匠の夢を自分の使命として認識するようになる。だからこそ、自分の身体を綿密に作り上げる必要性に駆られ、日本のトレーナー陣の指導を受け入れられなかったのだ。クリスエスと本心から向き合った主人公トレーナーにならそれが出来る!!選定試験の結果、クリスエスから専属に選ばれたのは主人公であった。

 

クリスエスのシナリオのテーマは「理解」
  • クリスエスの理解者となる主人公トレーナー
    • フラグ成立後も主人公トレーナーのお世話係としての日々は続く。ルドルフの業務を手伝おうとするも上手くいかないクリスエスをさり気無くフォロー。日本の現代大衆文化を観光したいとクリスエスが述べれば遊園地にショッピングにと八面六臂。その際、クリスエスが義務や使命に強いコダワリを持っていることが描写される。ゴールデンカムイでは中年男性たちが自己の人生の意味について悩むが、それに対して「天から役目なしに降ろされた物はひとつもない」という意味のアイヌ語が繰り返し述べられ、オッサンたちは自分の役目を探し人生の生き様とする。クリスエスもまた同様であり、モノにおいてもそれが作られた機能が分かるとテンションが上がるのであった。
    • クリスエスは師匠以上に自分のことを理解してくれる主人公トレーナーに対して好感度を上昇させまくっていく。そして自分以上に自分の感情を理解してくれていると確信するのだ。社交パーティーが開催された際、主人公トレーナーはクリスエスに同行するのだが、彼女は著名人に会えることに気分が昂揚していた。彼女自身はニュートラルだと思い込んでいたが、指摘されて初めていつもよりウキウキしたいたことを実感する。これによりクリスエスは自分以上に自分の感情を主人公トレーナーが理解していると気付くのである。理由を聞かれた主人公はクリスエスに対し、魔法で心が読めるとかお茶目な感じなジョークで流す。だがクリスエスは自分のトレーナーに対する好意や愛情といった想いを言葉にしなくても彼が理解してくれているであろうと親密度を深めるのであった。
トレーナーに対し言葉にしなくても自分の想いを理解してくれていると確信する