加齢により全盛期を過ぎ衰えが顕著になったキタサンブラックが現役競走馬の凋落に抗う話。
3期3話のゴルシシナリオで題材となった全盛期を過ぎた競技者の老衰問題をキタサンでも描く話。
キタサンの絶頂期は2017春天であり、宝塚で9位に終わったのは老化の始まりによるものであった。
無尽蔵の体力は疲れを覚え始め、食事量も目に見えて減り始め、集中力を欠き踏ん張れなくなった。
キタサンは自分の身体の変化にショックを受けるがそれでも地元で愛されていることを心の拠り所にする。
海外遠征は断念し現役人生をシニア秋に賭けることにし秋天・JC・有馬に最後の力を捧げることにする。
苦渋の表情で老化に抗い、これまでの貯金と根性で秋天に勝利するがかつての輝きは失われていた。
人生のピークを過ぎ、衰えを感じ始めたキタサンはそれでも老いに抗おうとする話
今回のテーマは全盛期を過ぎ老化と衰退を感じ始める壮年の悲哀。キタサンブラックは宝塚記念で9位に沈むが違和感を覚え始める。それが老化による衰退であり全盛期の様な力が発揮できないことに気付くのだ。それでもキタサンは若い頃と同じように、食べて寝て疲労を回復して練習すればもう1度勝てると信じようとしたのである。そんなキタサンに現実を突きつけるのが、我らがゴールドシップ。他のメディアミックス作品ではすっかりギャグキャラになってしまっているゴルシだが、アニメ3期では要所要所でシリアスな場面を担当する。3期3話ではゴルシの引退が描かれ本格化を過ぎた後のウマ娘の人生について触れられたが、キタサンでもテーマとなるのだ!ゴルシがキタサンにもどらねーんだなと告げるシーンが今回のハイライト!現役競走馬として走れる時期はもう少ない。キタサンはドゥラやサトイモに影響され海外遠征の夢を吹き込まれていたが、ここでもカギになるのは地元の人々。府中でのキタサンの走りを日常の喜びとしている一般大衆の声を聞き、自分がまだ求められていることの確証を得たキタサンは、海外遠征を取り止め最後の現役人生をシニア秋に捧げることにするのであった。
こうして老化により衰退が始まったキタサンの老いに抗う涙ぐましい努力が描かれる。食事についてもかつては美味しく楽しくたくさん食べられていたのに、今では量を摂るために無理やり詰め込む苦しいものになっていた。昔なら難なくこなせていたトレーニングも精一杯やって同程度。あんなに走ることが楽しかったのに、ただただ辛く厳しいものに成り果てていた。それでもキタサンは今までの貯金と凄まじい根性で自分を奮い立たせていく。秋天では悪天候に見舞われ重馬場となった挙句、キタサンは滑ってスタートで出遅れてしまう。泥まみれになりながらも走るキタサンを支えていたのは、執念としか言いようが無かった。最後は重馬場を得意とするサトノクラウンとの一騎打ちとなるが、キタサンはこれまで見せなかった形相で走り抜き1位を勝ち取る。だがレース後のキタサンは力を使い果たしており、肩で呼吸し息をするのも限界だった。こうしてキタサンは自分が衰えていることを受け容れるに至るのであった。勝利にも関わらず喜びの表情は一切なく「そっか…」で締めくくられるラストは涙をそそる様な演出となっている。
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