ウマ娘「カツラギエース」シナリオの感想・レビュー

田舎コンプレックスを見返すことを戦う動機とする農家出身のきっぷのいいウマ娘の寂しさを癒す話。
カツトレは当初弱者男性な面が強く大きすぎる夢を語るばかりにスカウトに失敗し続ける気弱さが強調される。
カツラギとの馴れ初めもトレーナーがオッサントレに説教くらってその目標を小馬鹿にされていた事に始まる。
カツラギはトレーナーを誘い、シービーやルドルフなど強者がひしめく中でも負けない心意気を見せる。
地方出身で衆目を集めない孤独な状況の中でも逆境を糧に心を燃やすカツラギを見てトレは感化されていく。
トレーナーはカツラギをスカウトしお試し期間を経て大逃げ走法を確立、レースに勝利し契約を結ぶ。
後半はカツラギのホームシックを癒すために二人で農園を始め弱者男性であったトレが頼れる農夫に成長する。
たった一人で田舎から上京し誰からも理解されず孤独であった少女にとってトレーナーは特別な存在となっていく。

カツラギエースのキャラクター表現とフラグ生成過程

田舎コンプレックスを戦う動機とするカツラギエース
  • 身分不相応な大きすぎる夢を抱くという共通点
    • カツラギエースの物語はどちらかというとトレーナーが主役を張るシナリオだ。トレーナーは大きな夢を語るも、その大きすぎる夢はウマ娘たちに見向きもされず、スカウトに失敗し続ける日々を送っていた。終いには説教好きなオッサントレに捕まり、スカウト方法について足元を見た地道な勧誘にすべきだと正論パンチでネチネチされる。カツラギエースとの馴れ初めはここから始まり、お互い身に余る夢を持つ者同士としてシンパシーを感じていく。田舎出身のカツラギは地方を馬鹿にされた過去から見返してやることを戦いの原動力としていたが、シービーやルドルフなど強豪ひしめく中では歯牙にもかけられなかったのである。カツラギの人物像を知ったトレーナーは指導をしたいと申込み、カツラギはお試し期間を設けて指導を受けることになる。この過程でカツラギは大逃げ走法を確立し、見事勝利に至るのであった。だがここでなぜ大逃げか、どのように大逃げを身につけたのかが捨象されてしまっており、競走馬に関わる重要なファクターなのでこここそ深く掘り下げて欲しかったものよ。

 

大きな夢を抱くこととその裏にある恐怖を共感するトレカツ
  • 後半はカツラギとトレーナーの農園物語となる!
    • カツラギシナリオの後半は農園物語となる。仕事で疲弊したトレーナーの世話を焼くカツラギから新鮮なトマトを食べさせてもらったことから、彼女がトレセン内に家庭菜園を作っていることを知る。農家出身のカツラギは畑仕事をせずにはいられないということを知り、トレーナーも挑戦。だがトレーナーは芋虫にビビッて尻もちをつきカツラギに取ってもらうという弱者男性っぷりを晒す。だがここからがトレーナーの真骨頂。好きな人が好きなことを理解するのを諦めたくないと息巻き、農園の勉強を始めるのだ。その背景にはカツラギが故郷の農家を大切にしておりしばしば郷愁に駆られるのでその寂しさを埋めようとしたという背景があった。
    • 一方きっぷのいいカツラギはアレコレと喜んでトレーナーに尽くしてくれるのだが、トレーナーが自分のために農園の勉強をしていることを知り、さらにきゅんきゅんしてしまう。カツラギは一緒に農業を勉強しようとトレーナーを誘い、自分の技術を教えたり、二人で新しいことを学んだりして関係性を深めていく。母親にもトレーナーのことを嬉しそうに話しており、農業ゲーまっしぐら。夏合宿イベントも農園ゲーと化し、地元農家の畑を見せて貰いに行く。だがここでアクシデント!台風で畑がおじゃんになってしまう。農家あるあるだがショックは大きいもの。しかしながらカツラギとトレーナーはすぐに思考をチェンジし畑を修復することに動いていた。農業は天候などの外的要因に左右されることが多く不条理な目にもたくさん遭う。だからこそそれは日常茶飯事なのであり、それを支えるのは家族の存在なのだ。弱者男性だったトレーナーは今や立派な農夫となっており、カツラギとの農家生活に喜びを見い出す。朝の作業を終えた二人は肩を寄せ合って眠り、夫婦の幸せを甘受するのであった。
トマトから始まる農園物語
カツラギエースとその寂しさ
農作業を通してトレーナーへの依存を深めるカツラギエース
レース引退後に二人で農園経営している姿がありありと見えて来る
二人で仲良く寝ている姿を目撃されるトレカツ