【感想】ウマ娘シンデレラグレイ「1989年有馬記念~勝利が義務化し自滅したオグリと走ることの楽しさを思い出し勝利を掴んだイナリ~」(131-143話)

マイルCSからJCへの連闘が話題となりバブル経済に湧く日本の社会現象となったオグリキャップ
そんなオグリと対等になるため、彼女の敵役となりヒールに徹する覚悟を決めたスーパークリーク
そんな二強対決と言われる中で地方競馬出身のイナリワンは自分の存在意義を見失い苦悩の中にいた。
思い悩むイナリを解放したのはミスターシービーであり彼女は走ることに理由などいらないことを示す。
また彼女のトレーナー檮原太郎は最新の理論を捨てイナリワンにあったトレーニングをする方針に転換。
こうして走ることはただただ楽しいものであることを思い出したイナリは覚醒しゾーンを発動し大逆転。
オグリは社会現象になったことでレースに負けられないと勝利が義務化してしまい自滅する結果に終わる。
クリークは基礎を磨いてステータスでオグリを潰すが最後の最後で勝利に執着してしまいイナリに敗北した。

社会現象が重圧となり勝利が義務化したオグリが自滅していく姿が悲哀を感じさせる

社会現象となり勝利が義務化したオグリキャップ

これまでもオグリの実力は高く評価され人気があったが、マイルチャンピオンシップからのジャパンカップの連戦はオグリを一般人にまで知らしめるものとなり社会現象となった。しかも当時はバブル経済真っ盛りであり、オグリは意識的無意識的に自分は負けられないという呪いに苛まれることになる。一方でオグリのライバルスーパークリークは自分がどうあがいてもオグリの後塵を拝することを悟り、対等な関係にまで上がるため敢えてヒールを演じ魔王と化す。

そして不調が続くイナリワンであるが、彼女が1989年有馬記念を制するため、どのように成長を描くかに注目が集まっていた。イナリは自分がやりたかったことがもう既に全てオグリに達成されており、自分には何の意味がるのかと存在意義に悩むようになる。そんなイナリを解放するのがミスターシービーであり、彼女は突如真冬の海に飛び込むと走ることに理由などいらないと述べる。この意味を悟ったイナリは勝つとか負けるとか名誉とか郷土の誇りとか人々の想いとかそんなの全て関係無くて、自分はただただ走ることが好きであったことを思い出す。また彼女のトレーナー檮原太郎はアメリカで最新のトレーニング理論を学んだ身であったがそれはイナリには適していないことを悟り、彼女のためのトレーニングメニューを組むことにする。こうしてイナリは走ることは楽しいと思い出すのだ。

ヒールを演じオグリの敵となることで対等となったスーパークリーク

こうしていよいよ始まった有馬記念。レース描写ではオグリの自滅・クリークの執着・イナリのゾーンが描かれていく。オグリは先行策を取りレースを作っていくのだが、マイルチャンピオンシップジャパンカップのスピードレースが仇となり自分のペースを見失っていく。さらには社会現象となったことで全ての敵ウマ娘に厳しいチェックを受け、尚且つ自分はもう負けてはいけないというプレッシャーに押しつぶされる。こうしてペース配分を間違えたオグリにはもう既に体力など残っておらず、自滅したのであった。

一方でスーパークリーク。彼女が有馬で取った戦略とは、戦略も何もかも捨て去ることであった。彼女は基礎を鍛え直しステータスで圧倒し、純粋な能力値で全てを叩きのめそうとしたのである。彼女の能力は実を結び。オグリを磨り潰した後、先頭に立ってもまだ余力を残した状態にいた。

そんなクリークに襲い掛かるのが最後に現れたイナリワン。彼女は上述したように悩みから解放されただただ走ることを楽しんでいた。原点回帰したイナリは呪縛から解放されゾーンを発動!その恐ろしい追い込みによりクリークに並び、最後は写真判定にまでもつれ込む。イナリはレースで思いっきり走れたことを楽しかったと評するほどであった。結果としてはイナリワンが1着であり、1989年はイナリワンが勝利を飾った。

オグリに残されているのは残り1年5レース。安田(1位)・宝塚(2位)・秋天(6位)・JC(11位)・有馬(1位)。ラストランの有馬に至るまでどのようなストーリーが紡がれるのか楽しみである。

オグリキャップの自滅
走ることの楽しさを思い出したイナリワン

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