【感想】ウマ娘シンデレラグレイ 第三章二節「1989年マイルCS~六平銀次郎の過去の悔恨とその救済~」(102~113話)

1989年におけるオグリキャップマイルCS・JCの連闘問題を六平銀次郎の掘り下げにより描く話。
史実でオグリは1989年にマイルCSとJCを連闘することになり酷使との批判を浴びることになった。
当然ウマ娘でも非常識なので、どうオグリを連闘させるように描くのかが見所となっていた。
そこで取られたのがオグリの中央でのトレーナー六平銀次郎を悔恨から救済するという脚本だった。
ウマ娘の全盛期は短く、皆が皆走りたいときに走れるわけではないと強く出走を訴えるオグリキャップ
そんなオグリの姿は六平銀次郎に捨ててしまったはずの理想を取り戻させずにはいられない。
若き頃根拠のない信頼により担当ウマ娘との関係が破綻したことで現実派となった六平に再び夢を与える。
「信じてる」がトラウマになっていた六平にオグリは再び「信じてる」と言わしめたのであった。

1989年におけるオグリキャップマイルチャンピオンシップからジャパンカップの連闘をどう描くか

六平はオグリをマイルCSに出走させるべきではないと頭では分かっているのだが……

  • オグリをマイルCSからJCへと連闘させる
    • 六平はオグリの身体の負担を第一に考え、ジャパンカップの1週間前にあるマイルチャンピオンシップになどオグリを出場させるわけにはいかなかった。だが名瀬(父)はバンブーメモリーを両方に出すという。オグリは六平の反対に遭うも、怪我でレースに出られないライバルたちの姿を見てウマ娘の全盛期が短いことを痛感する。ウマ娘は走りたい時に走れるわけではないと悟るのである。すなわちここでバンブーと戦わなかったら、もう二度と戦えないかもしれないのだと。闘志を再燃させたオグリは六平に直談判し、自分がどんなにマイルチャンピオンシップに出たいかを訴える。オグリの理想に何よりも共感していたのが六平自身であり、とうとうマイルCSとJCの両方の出場を許可したのであった。六平銀次郎、それはウマ娘の意志を何よりも尊重するトレーナーであり、オグリが連闘しても怪我をしないよう十分に配慮していく。

  • オグリキャップVSバンブーメモリーの戦いよりも六平銀次郎の内面描写に重点が置かれた
    • 六平がこんなにもウマ娘自身の意志を尊重するのにはワケがあった。ここから始まる六平銀次郎過去編。かつて六平銀次郎はバリバリのトレーナーであり、夢と理想を掲げて担当ウマ娘に「信じてる」と繰り返していた。だが彼女はなかなか勝てず、六平の「信じてる」の言葉が信じられなくなるのだ。六平は自分の理想を信じているだけでウマ娘の心に寄り添えなかったのである。
    • ある日、彼女が名瀬(父)の担当するウマ娘に大差で敗れて2位に終わった時に事件が起こる。六平の担当ウマ娘はついに闇落ちしてしまい、恨み言を放って去っていったのであった。涙を浮かべながら「あなたの「信じてる」私って誰なんですか?」と放たれた言葉は若き六平に突き刺さったのであった。それ以来、六平は夢や理想を語ることをやめ、徹底した現実主義者となった。ウマ娘本人がどう走りたいか、どこまで実現可能か、現実的な歯にでできる限りの指導をするという方針に転換したのである。
    • そんな六平に夢や理想を取り戻させるきっかけとなるのがオグリキャップであった。オグリの走りは六平の若き日の情熱を刺激し、彼のトラウマを払拭し、彼を救済したのだ。ベルノから問われた時に六平が信頼することを当然のものとして答えることが出来たのが何よりもその証左。一方レースではオグリがまた一段と成長。速さだけでは駄目で、戦略、位置取り、駆け引きに直感、全部使って獲ることを覚えたのである。こうしてマイルチャンピオンシップオグリキャップバンブーメモリーを下して大勝利。ジャパンカップへ向けて弾みをつけた。
ウマ娘の心に寄り添えず自分の理想を信じてると言い続けてしまった結果
担当ウマ娘を闇落ちさせてしまった六平の過去
六平の悔恨
夢や理想を捨て現実主義者となりウマ娘に寄り添うことを第一とするようになった六平
信頼がトラウマになってしまった六平
オグリの走りが六平のトラウマを払拭する
オグリの走りは六平を救済し「信じてる」を取り戻させた