ウマ娘「ヒシミラクル」シナリオの感想・レビュー

トレセン学園においてレースに人生を賭けるわけでもないモブ側ウマ娘の心情を描く話。
これまでのウマ娘とは異なりヒシミラクルはただ何となく学生生活を送るだけの少女。
人生における自分の使命だとか役割だとかレゾンデートルとかには無縁で生きてきた。
諾々と授業をこなし、スポーツ系大学へ行き、スポーツ系企業に入って幸せな人生を送る。
そんな風に漠然と生きてきたミラ子の前に、彼女に「期待」をかけるトレーナーが現れる。
これまでの人生においてモブキャラでしかなかったミラ子はその期待が嬉しかったのだ。
トレーナーの声援にノったミラ子は期待に応えるという快感を得て脳内麻薬がドバドバでる。
ミラ子はトレとの熱量を気にしていたが、トレが自身との生活を楽しんでいることを確信する。

ヒシミラクルのキャラクター表現とフラグ生成過程

レースに人生なんてかけられない
  • ウマ娘セカイにおけるネームドは上澄みの中の上澄み
    • これまでのウマ娘に出てきたヒロインたちは、専属トレーナーがついてデビューしてレースにでて、そしてそこで結果を出すために人生を賭け、それこそが物語となっていた。人生をレースにブッパしても勝てないウマ娘や専属トレーナーがつかずに終わるウマ娘、そもそも論として希望してもトレセン学園に入学できないウマ娘などレースに人生を賭けながら無残に終わっていった数多のウマ娘たちの上に成り立っていたのである。だがそのようなウマ娘たちの一方で、トレセン学園にはただ何となく唯々諾々と生きているようなウマ娘たちもまた存在していたのである。トレセン学園に入ったからと言って、全員が中央のレースに人生を賭けるわけでもなく、地方に下ったり、フツーに大学へ行って就職するモブキャラウマ娘たちの方が多数派を占めているようであった。ヒシミラクルもまた当初はそういったモブサイドに立っていたのである。

 

トレーナーにノセられてそこまでいうかぁ~するミラ子かわいい
  • 期待されているから走るんだ
    • 日常を浪費し、何となくトレセン学園を終えるような存在がヒシミラクルであったのだが、練習風景録画ビデオを見たトレーナーに見出されることとなる。ヒシミラクルの練習を見るため足繁く競技場に通うトレーナーを満更でもなく思うヒシミラクル。そしてトレーナーは彼女がエンジンがかかり始めるのが超遅いズブいウマ娘なだけで、練習を着実にこなし地力をつけていることを見抜くのである。そんな彼女をここで終わらせていいだろうか。いや良くない。トレーナーは荒療治と言わんばかりに伴走相手を探していたトプロの相手にミラ子を付けてしまうのであった。尻込みするミラ子であったが、トレーナーは序盤からミラ子に本気を出せるため声援ラッシュを送る。このトレーナーの作戦に見事にミラ子はノった。これまでミラ子は人生において期待されることは少なかったのであろう。トレーナーに求めらる、必要とされる、自分でも輝けるかもしれないということはミラ子を駆り立て、トプロに負けない走りを見せる。これがミラ子にとっての転換点であり、トレーナーから求められ、心からの声援を受けることがミラ子を走らせることになる。

 

トレーナーの期待が走る動機
  • ミラ子にとってトレーナーは一緒にいて心地良い人物
    • フラグ成立後、ミラ子√で課題となるのが、その熱量の差について。ミラ子はトレーナーが自分にかけてくれる熱量を嬉しく感じながらも、自分の熱量との差を気にしていたのだ。だがミラ子はトレーナーだっていつも仕事のことばかり考えているわけではないことを知る。トレーナーも映画を見るし、カラオケにも行くことを知ったミラ子はカラオケにご一緒させてもらうことになる。そこでミラ子はトレーナーが仕事の義務感ばかりで自分に接しているのではないと痛感し、その想いを深めていく。夏合宿では学友たちが特訓のために花火大会にすら行かないのを見て、行きたい自分を引け目に思ったりもするのだが、トレーナーが付き合ってくれることに嬉しさを感じずにはいられない。昂奮したあまり蛍を見ようと森の中にトレーナーを連れ込むミラ子。トレーナーの導きで満天の星を眺めることができ、改めて自分にとってのトレーナーがどういう存在なのかを噛みしめるのであった。
トレとの熱量の差について悩みを解消し絆を深めるミラ子

ヒシミラクル温泉名場面集

ヒシミラクル 温泉
トレーナーへの想いを深めるヒシミラクル
トレーナーに厳しくてもついていくと誓うヒシミラクル