北へ。~Diamond Dust~「朝比奈京子」シナリオの感想・レビュー

能力があるが故に自分勝手で我儘なツンデレが自己の誤りに気づく話。
札幌編だが札幌要素は少なくロケ地巡りをする京子をひたすら追い掛け回す。
自分の映画撮影の為には周囲を全て道具扱いする自己本位な女の真髄を見よ。
声優能登麻美子が初期に高飛車な女を演じたという貴重な作品とも言える。
最後は京子が映画監督として大成するエンド。夢叶うブルーローズが贈られる。

札幌編なのに殆ど札幌は出てこず、ロケ地取材として道北・道東を巡る。

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  • 自分勝手で我儘なツンデレ女を取材旅行先でひたすらストーキング
    • 朝比奈京子さんは北大のサークルで映画撮影に燃えています。主人公くんとの出会いは最悪で、時計台を撮影していた京子さんが車に轢かれそうになったところを助けてあげるのですが、カメラが壊れてしまうのです。助けたのにイチャモンをつけられる哀れな主人公くんですが、この出会いをきっかけに京子さんのケー番をゲットします。このエピソードから分かる通り、京子さんはタカビーで有名でありサークルクラッシャーっぷりを遺憾なく発揮し、ヘイトを集めていました。それでも何とかやっていけたのは、北海道の自然をテーマにした映画を撮影し、それが世に認められて賞を獲得していたからでした。しかしサークルの調和を全く無視し、周囲を見下していたため、人望は全くなかったのです。それ故、京子さんはサークルの仲間を見限り、自分一人で取材旅行に出てしまうのです。
    • この作品では、ケータイの行き先占いでヒロインの場所のヒントが提示されます。そして主人公くんは京子さんのホームページを教えてもらうのです。このコンボによって京子さんの取材先を知ることが出来るので、プレイヤーは主人公くんを操ってひたすらストーキングを行うことになります。黄金岬→サロベツ原野→宗谷岬サロマ湖オシンコシンの滝知床五湖知床峠北見駅と回っていくことになります。

 

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  • 京子さんの人間的成長
    • 京子さんは行く先々で現れる主人公くんを映画撮影のためにこき使うことになるのですが、様々な場面で主人公くんが真摯に対応し、徐々に京子さんの心情を変化させていきます。やはり一人で映画撮影を行うのはとても大変なせいか、京子さんは主人公くんに自分の思いを吐露していきます。京子さん自身は映画撮影の才能があるので撮りたいもののビジョンが見えるが、伝達力が低いので、それを他者に説明できず歯がゆく思い、最後は言い争いになってしまうこと。北海道の自然をテーマに、北海道だからこそ撮れる映画を撮りたいと主張していたのは、自然相手でしか映画を撮れなかったからだと心を覗かせるのです。そんな気位の高い京子さんにひたすらついていけばフラグは成立さ。ぼっちだった京子さんはどんなに邪険に扱っても必ずついてきてくれる主人公くんに惚れていくのでした。
    • 京子さん√ではダイアモンドダストが一つの題材となっており、冬編ではそれを見に釧路まで行くことになります。このダイアモンドダストを見ながら、京子さんが行う主人公くんへの告白シーンはまさにクライマックス。主人公くんがいてくれなければ周囲との調和の大切さが分からず、潰れていただろう。主人公くんこそが自分を救ってくれたのだ云々と述べていきます。自分勝手で我儘、気位が高くて高飛車なツンデレの女がようやくデレ化した瞬間でした。

 

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  • 【余談】サッポロファクトリーサッポロビール園について
    • 私が京子√をやったのは、コンテンツツーリズム論演習の課題で「講義の時間内で行ける札幌を中心とした観光コース」を作らねばならなかったからであり、京子√に出て来るサッポロファクトリーサッポロビール博物館を観光コースに組み込もうと思ったからでした。しかし京子√では選択肢次第ではこの観光スポットをスルーしてしまうのです。京子√冬編でバレンタインのチョコ代わりに大量のおはぎを食べさせられるのですが、この次の選択肢で腹ごなしを選ぶとホテルのプールに泳ぎに行ってしまうのです。北海道のお土産を買いたいを選ぶとサッポロファクトリーサッポロビール博物館に行けます。サッポロファクトリーでは京子さんが主人公くんを脅かさそうとわざと迷子になるのですが、ここで主人公くんが悪ふざけはやめなさいと説教し、珍しく反省する京子さんが見られます。サッポロビール博物館ではドライバーの主人公くんに構わず自分だけビールを飲む京子さん・・・。さらには自分の可能性を信じられず愚痴ってきたりします。本当にこの√の主人公くんはマジ聖人のように思えてきます。