喫茶ステラと死神の蝶「明月栞那」シナリオの感想・レビュー

家族ゲー。途中から『CLANNAD』展開になり主人公と父親が和解する話がメインとなる。
死神要素を掘り下げると思いきやサクッと解決し受肉して人間形態へ。
(栞那さんに関してはどうして死神になったのかという経緯も捨象される)
主人公は栞那と結ばれるも「普通の家族」の経験がないため家族形成に不安になる。
それ故、栞那は主人公くんに父親と向き合うことを促すのだ。
栞那の支えで父親との関係を改善し、亡き母との馴れ初めを語ってもらう。
これにより家族愛を実感できた主人公は、栞那と家族になるのであった。

令和になっても家族ゲーで『CLANNAD』展開!

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  • フラグ構築編 栞那さん死神から人間になる
    • 死神編はわりとサクッと終わります。なんと主人公くんは栞那さんが初めて死神の仕事をした時に導いた魂の転生体でした(※複数回転生している)。しかしながらこの転生が厄介で、主人公くんの魂が前世において何度転生しても、生まれた先の親がニグレクトしてしまうのです。これを見かねた栞那さんは、主人公くんの魂が転生するたびに寄り添うようになったのです。この意味では栞那さんは主人公くんの母とも言える存在だったのでしょう。だからこそ体験版では母親フラグの伏線が張られまくっていたわけです。主人公くんの魂は何度生まれ変わっても家族愛を知ることができないため、愛を希求する力を増大させていきます。それ故主人公くんは世界改編させられる程の力を手にしたというわけです。
    • 一方、栞那さんの事情。この作品における死神とは、人間に転生する為の前準備を行う存在とのこと。魂を導く仕事を通して生命への執着を取り戻した上で、生まれ変わりをするのだとか。そのため主人公くんが栞那さんとフラグ構築しても、それは一時的なもので、栞那さんは間もなく消えてしまう運命にあるのです。プレイ中は「たとえ消える存在だとしても愛した事実は変わらない」という思いを描くのカナーと思っていたのですが・・・ご都合主義的展開が発動し、主人公くんの魂の力でアッサリと栞那さんは復活。死神の存在からそのまま人間となり結ばれることになりました。

 
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  • 家族形成編 父親との和解
    • 栞那さんと結ばれた後は『CLANNAD』展開になります。父親と和解することがメインです。主人公くんは栞那さんと幸せな時間を過ごすのですが、自分が「普通の家族」を知らないため、栞那さんと家族を形成できるのか不安に駆られます。主人公くんの父親は風景画の画家で殆ど海外を放浪していました。他方で主人公くんの母親は病弱で殆ど病院で過ごしていたのです。それ故主人公くんは絶えず自分は望まれて生まれて来た存在だったのだろうか?と親の愛情を疑いながら成長してきたのです。母は死に、父親とは仲が悪いというわけではないものの苦手意識があり疎遠になっているという状況ですね。主人公くんが栞那さんと家族を作るためには、自分の家族に対する不信と向き合う必要があるというワケ。こうして主人公くんは父親に栞那さんを紹介するという名目で対面し、かつて聞けなかった父と母の関係を尋ねます。
    • ここから父親の過去語りタイム。父親は地方名士の家に生まれたが窮屈な家柄に馴染むことが出来ずグレてしまいバイクでの事故を契機に勘当されてしまいます。その事故で入院中に出会ったのが主人公くんの母親。母親はホスピスであり長い病院生活でやさぐれており誰に対しても攻撃的になっていました。主人公くんの父親が手慰みに風景画を描いていると母親はイキナリイチャモンをつけてきて、ここからフラグ構築は始まります。主人公くんの父は自分の絵を認めさせるという名目で病院を何度も訪れ、母親は自分の為に絵を描き続けろと要求するのです。こういった背景があったので、主人公くんの父親は風景画を描くために放浪し続け、母親もそんな父親を愛していたのです。父親は自分が束縛されて育ったため、逆に主人公くんを自由にしたのですが、それが放任に繋がってしまったのです。改めて父親は放任ではなく、成長の支援をすべきだったと述べ、主人公くんと和解するのでした。主人公くんは栞那さんとの子どもを作ると親の苦労を知り、父親の心情を十分に理解。娘の誕生日には家族全員で過ごす習慣も出来て、ハッピーエンドを迎えます。

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