雑録

喫茶ステラと死神の蝶「四季ナツメ」シナリオの感想・レビュー

人生を諦観し生きる気力を喪失した少女が、生命への意志を取り戻す話。
幼少期に病弱で入院生活を強いられたナツメは早熟して達観し心が冷めていた。
さらに自分の入院のせいで両親の喫茶店を開く夢を潰したと思い込んでいたのだ。
実はナツメはシナリオ冒頭の交通事故で死亡しており世界改編により生き返った存在だったのだが・・・
生への執着が薄かったため、魂の一部を欠いてしまっていたのだ。
ナツメのトラウマを解消し、欠けた魂を埋めることがナツメシナリオの根幹となる。

生きようとする意志は何よりも強い

フラグ構築篇

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  • 病弱な自分が、楽しみにしていたけれども参加できなかったイベントは、健常者にとっては数ある無数のイベントの消化にすぎなかった悲しみ
    • 本作品は四季ナツメが物語の原動力となっており、栞那が喫茶店を開くことになったのもナツメの発案によるものでした。では、なぜナツメは死神である栞那と知り合うことになったのでしょうか。体験版の時点ではナツメがホスピスであり栞那の死神パワーで一時的に生かされているだけではないかという予想が出されていましたが、当らずとも遠からず。その真相はナツメの生きる気力の欠如にありました。ナツメは幼少期に病弱であり長い入院生活を強いられたのですが、その時に徐々に生命への執着が希薄化していったのです。その原因となったのが「クリパでタコパ」。ナツメは学校の友人たちに誘われたイベントを楽しみにしていたのですが、ちょうど病気が発動し、参加できなかったのです。それでもナツメは自分が心待ちにしていたイベントがどのようなものだったか知りたくて、後日イベント内容を尋ねのですが、返事はそっけないものばかり。この時ナツメは自分が大切にしていた気持ちは健常者にとっては無数のものの一つにしか過ぎないことを痛感したのでした。さらにここで体験版でも語られていた、両親の喫茶店を開くという夢を自分の入院のせいで潰してしまったと思い込んでしまうことになり、ナツメは人生に達観し、諦念を抱くようになったのでした。

 
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  • 生への意志
    • 主人公くんのここでの役割は、ナツメに生への執着を取り戻させること。主な行事としては、「正月の初詣における屋台の出し物」が主軸となります。主人公くんはお世話になっている神主(幼馴染の父親)からの頼みで、屋台で出し物をすることになります。この時、ナツメと一緒にミニ肉まんの店を出すことになるのですが、コンセプトや企画、味付けや調理に販売方法まで二人三脚で乗り越えていきます。ナツメは自分の喫茶店を開きたいという夢を実現してくれた主人公くんに恩返しをするつもりだったのですが、二人で時間を共有するうちに、次第に好感度を蓄積していきます。特に自分が叶えられなかったタコパの夢まで叶えてくれたことは大きく、初日の出を拝んでいる最中に自ら接吻をしに行くのでした。この後、ナツメは人生に対する諦念に囚われ、主人公くんからの好意を拒否するのですが、ここで病弱イベント発生。ナツメは過労もあって倒れて病院に運ばれてしまうのです。しかし、そこで改めて医師や両親、大家や主人公くんから大切にされていることを噛みしめ、フラグ構築をすることになったのでした。

トラウマ解消編

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  • ナツメが幼少期に夢見た理想の喫茶店を実現せよ!
    • フラグ構築後は、ナツメのトラウマ解消を目指します。ここでポイントになるのは、ナツメの初期衣装であるメイド服。なぜナツメはメイド服にこだわっていたのでしょうか。それは、ナツメが入院生活中に夢見た理想の喫茶店のイメージがクラシックメイドだったからです。幼少期にナツメが描いた絵を偶然目にした主人公くんは、そのクラシックメイドカフェを実現することを決意。毎週火曜日は本格的アフタヌーンティーを提供すると称して執事になることを決意し研鑽を積んでいきます。その一方でナツメが病院生活を送っていた時のトモダチたちに召集をかけ、同窓会を提案していきます。こうしてサプライズでナツメにもたらされたのは、クラシックメイドカフェでトモダチたちがお茶を楽しむという、幼少期の夢の実現。さらに両親も招待され、ナツメの病気のせいで喫茶店を断念したのではないことが語られます。こうしてナツメはトラウマから解放されたのです。以上によりフラグ構築篇で生きる意志を取り戻し、トラウマ解消編で心の問題を解決したナツメは、欠けていた魂を完全に埋めることができたのです。主人公くんもまたナツメと一緒にお店を守っていくことに未来を見出すことができハッピーエンドを迎えます。

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参考