『かけぬけ★青春スパーキング! 体験版』の感想・レビュー

資産家の一族に反発し、意地を張って苦学し、青春を否定してきた主人公の話。
体験版は小賢しく生きてきた主人公がヒロインに影響され青春に目覚める所がカタルシス
しかし主人公が過去に囚われ話も聞かずに一方的に叔母を敵視していることが根本的な問題かと。
学校改革による廃部問題と奨学金打ち切りは全て主人公に話を聞いてもらう為だけのエサ。
叔母はスカしていた主人公が熱くなっている様子を見て満足し学校改革を撤回してくれる。
物語の原動力は主人公の家族問題(実母への怨念と再婚家庭)でありそれをどこまで描けるか。
今までの作風だと聖橘花がグランド√の真ヒロインとなりそう。

「青春とは何か?」とかいう高校倫理の第1章的なおはなし

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  • 結局、主人公の家庭環境の問題に始終しそうな気もする
    • 【1】体験版は、苦学して青春を否定する主人公が新自由主義的な学園改革に立ち向かうことが主眼となっています。苦学生であるが故に青春を否定するのは『そして初恋が妹になる』、一方的な学園改革に立ち向かうのは『恋色空模様』的な内容です。では本作のオリジナリティは何かと言えば、苦学生のような状況に陥ってしまっているのは主人公が反発し意地を張っているということ。何だ、反抗期か、一番青春してんじゃん!何でも主人公の母方である岬家は資産家の一族であり、死んだ祖父の頭首が主人公を後継者に指名していたとのこと。しかしながら主人公は母親を憎悪しており、再婚家庭の義父及び義妹に対して義理立てするために、遺産の継承から逃れ続けているのだとか。で、主人公のことを愛するやり手の叔母さんが、話を聞かない主人公に対して色々仕向けて来るという流れになっているわけです。学園改革も主人公を話し合いのテーブルにつかせるための手段でしかなく、主人公が話し合いに応じれば、アッサリとその趣旨を暴露したりもします。
    • 【2】叔母は主人公のことをとても大切にしている様子が窺われ、その分主人公の反抗期が浮き彫りになるという構図になっています。学園改革の話も、主人公が意地を張って楽しい学園生活を蔑ろにしてしまっていることを不安視して持ち出してきたようなもの。そのため主人公が廃部の危機やヒロイン達との別離に際して奮起しせーしゅんしている様子を見せるとアッサリと折れてくれます。それを指摘するのが聖橘花であり、叔母が主人公のために賭け勝負でわざと負けてくれたのだということを読者に教えてくれるのですね。こうして体験版の時点では、青春を否定していた主人公が、ヒロイン達に影響され青春を肯定することになり幕を閉じます。
    • 【3】以上により、シナリオの成否は主人公の家庭問題をきちんと描き切ることができるかにかかっています。実母への怨念、義父への謝罪、なぜ義妹と二人暮らしなのか、主人公が岬家に反発する理由、そこからどのように和解するのか。ここら辺がどのように処理されるかに注目が集まります。そのため主人公の家族と関係のある幼馴染の響・事情を知っている素振りをみせる橘花・主人公の義妹である律あたりはシナリオが深まる予感がします。その一方で複数シナリオライターであることも鑑みると、その他のヒロインはグランド√のための単なるパーツで個別ルートは使い捨てになるかもしれない危険性があります。

 
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  • 橘花がおそらく真ヒロインでグランド√になりそう
    • ヒロインたちのキャラクター表現は以下の通り。正ヒロインであるハルヒ系元気っ子の響、対抗馬のノビレスオブリージュお嬢様の理々、vtuberの中のヒトである栞里、合気道をたしなむ武闘派系先輩の凪子、義妹の律が用意されています。彼女らと一線を画するのが聖橘花であり、学園の制服を着ているものの所属しているような気配はせず、要所要所で青春ポイントを提唱し、叔母の意図も察するという観測者的な立場になっています。そのことを鑑みると、橘花はグランド√の真ヒロイン的なポジションであると窺うことができます。ひょっとすると、橘花=主人公の母親の転生態や生霊的な説もあるな!

 
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