『さくらの雲*スカアレットの恋』 体験版第一弾の感想・レビュー

2020年から1920年に過去跳躍した主人公が帝都の歪みを正すため探偵業に従事する話。
体験版第1弾は第1章まで。ヒロイン紹介・社会背景説明・物語の目的提示が行われる。
形而上学的存在曰く、主人公が現代に戻る為には歪みを修正する必要があるとのこと。
その歪みとは主人公と同様に未来の知識を得ている者たちとの対決であることが推測される。
原敬立憲政友会内閣における戦後恐慌下の帝都の雰囲気が感じられる所がステキ。
しかしながら第1章のまりも捜索はライター自身も触れているがお使いRPG過ぎる。
体験版第二弾は2章から4章まで収録されるとのこと。残り3ヒロインを題材にした共通√?

1920年4月!戦後恐慌下の帝都が舞台

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  • 過去跳躍!過去干渉する歪みを正せ
    • 文学青年の主人公が桜の木の下で梶井基次郎を嗜んでいると突如100年前に過去跳躍。途方に暮れていた所をホームズかぶれの探偵業の英国人女性に拾われることとなります。なぜ主人公は過去に飛ばされたのでしょうか。主人公を導く形而上学的存在が言うには、歪みを正す必要があるとのこと。こうして主人公は探偵業に従事しながら、帝都の謎を解き明かすことになります。
    • 第1章の時点で「歪み」として提示されるのは魔人の存在。主人公たちの前には憲兵として襲い掛かってきます。突如主人公の首にサーベルを突きつけると、未来人であることを証明すれば未来人でないと扱ってやろうと条件をつけてくるのです。ここで主人公はシベリア出兵とニコライエフスク事件について説き、無事に解放されるにいたります。ここで重要なのは、主人公以外にも未来に関する知識を有しているものがおり、それが憲兵という暴力装置についているということ。すなわち彼等はその知識と地位により未来改変を容易に行うことができると予測されるのです。おそらくは彼らの野望を阻止して未来改変を防ぐことが歪みを正すことに繋がるんじゃないカナーと勝手に思ってます。どうなるんでしょうね?

 
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  • 戦後恐慌下の大正時代の雰囲気!
    • 第1章は「まりも」ゲット作戦を通して、大正9年の帝都の様子やら時代状況の説明やらキャラ紹介やらを行っていきます。時代設定は1920年4月。3月15日に株式市場が暴落し、16日から17日には東京株式取引所が休業に追い込まれ、戦後恐慌が発生しています。4月10日には日銀が非常貸出を行っており、日本経済は大ピンチ!ここから1920年代不況は続き、戦後恐慌→震災恐慌→金融恐慌→昭和恐慌というコンボが繋がるのです。このような日本経済を表象しているのが、探偵業のメインヒロインであり、極貧っぷりを見せつけてくれます。こうして貧富の格差が拡大し、政争を繰り返す政党や腐敗した財閥に絶望した民衆は、閉塞状況を打破してくれそうな軍部の拡大を支持するようになり、1930年代に突入していくという流れです。それ故、ブルジョワヒロインさんは貧富の格差が広がることに警鐘を鳴らしています。

 
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  • 内容はお使いRPG なぜ「まりも」?
    • 以上のように当時の大正時代の剣呑な雰囲気が感じられて結構面白いのですが、肝心のシナリオに関してはお使いRPG!ライター自身もセルフでお使いRPGと述べています。200円の依頼料でまりもをゲットすることを頼まれるのですが、阿寒湖に行くわけでもなく帝都で捜査を開始します。大体の流れは以下のような感じ!①まりもを所持している画家を発見→②まりもを譲渡する見返りにインスピレーションを刺激するものを要求される→③宮沢賢治の未発表作品をゲットして交換→④手に入れたまりもを盗まれてしまう→⑤帝都を舞台にした捕り物騒ぎという流れ。最後は主人公が何やら武道を習得している様子が匂わされるが、探偵ヒロインが犯人をいなしてめでたしめでたしというオチ。シナリオの流れとしては探偵業がメインで進んでいくっぽいので推理場面が面白くないと厳しい戦いになりそうです。体験版の第二弾は2章から4章まで収録されるらしいので、残りの攻略ヒロイン(ブルジョワ・メイド・女学生)が主役となる共通ルートが展開されそうな予感。


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