破局した親友との和解を通してヒロインが自分の将来の夢を見つける話。
サブカルクソ女であったペチカは大衆に埋没することを怖れ、イキって演劇部していた。
だが結局部活は空中分解。親友とは破局し、孤独のうちに高校3年間を終えることとなる。
そんな中、主人公たちの大道芸大会には狂言回し兼ナレーターとして参加することとなる。
人間関係の痛みを学んでいたペチカはチームを陰に日向に支え年長者として魅力をみせるのだ。
親友との和解シーンは結構強引な展開で予定調和的でもあるがやっぱりグッとくる。
このイベント中にペチカは裁縫と服飾の才能を自覚しその方面へと歩み始める。
人間関係で痛い目を見ている凡人代表ペチカが一番人間味に溢れていて好き
- ペチカ√に見るレジグナチオン
- 【1】作中の言葉を借りるとペチカはサブカルクソ女。大衆に埋没するのが嫌でわざとマイナー趣味を気取ってる女でした。そのため演劇に熱を上げるのですが、ペチカの学校では本当に演劇をやりたい人は専門科に所属するため部活などせず、本気で取り組む部員はペチカとその親友の二人だけだったのです。ペチカのやる気は空回りして部活が空中分解し親友とも破局したのは上述した通りです。ペチカは高校3年間で何も無しえることも無く、孤独のうちに卒業式を迎えたのでした。そんなペチカの救いとなったのが、大道芸大会であり、この活動を通して主人公及びそのチームメイトと巡り合い、ペチカを癒していったのです。人間関係で痛い目にあっているペチカは、精神的に成長しており、クセモノ揃いのメンバーたちを年上として配慮し、ケアしていきます。ペチカの本質が切れやすく喧嘩っぱやかったとしても次第に成熟していったのです。
- 【2】グランドルートのソフィア√において、何よりも大衆に埋没することを嫌っていたペチカが、個人と社会の葛藤において自己を貫くのではなく、自己の立場を受け入れるという展開になることが、ペチカの魅力となっていました。ペチカに思想的影響を受けた主人公が、何も持たない自分を受け入れることで、自己を持つことができたという最大のビッグイベントでした。まさに諦念。レジグナチオン。ペチカ√で、ペチカが現実を受け入れた象徴となるのが裁縫の技能でした(デザインではなく実際に服を作る実務能力。つり乙とかやってると分かりやすいかも)。
- 【3】ペチカ√で欠かせないのが破局した親友との和解。しかしこの流れが結構雑。親友に会いに行っても拒絶されたペチカのために主人公が説得に向かうのですが……居酒屋→ワインを衣装にこぼす→1点ものの衣装であるため次の公演に出られない→ペチカに頼んで衣装を再生という流れ(分かりやすいチャート方式)。これによりペチカが衣装作りに自分のやりたいことを見出すという効果と親友と和解するという効果を生んでいるというわけです。それでもやっぱりペチカが親友と和解するところはグッとくる演出なっていて中々良いです。大衆に埋没したくないと突っ張るのは中二病罹患者なら誰しも共感できることでしょうし、そこから社会に統合されていく中での一抹の悲哀はペチカ√を彩っていると言えるでしょう。
【感想まとめ】