【感想】ねっこ先生のアビドスバッドエンド(ホシノ死亡シロコ闇落ちルート)を読んだ。

ホシノが実験に耐えられず死亡し、その死体をシロコがカニバリズムする話。
プレ先√でシロコが闇落ちしてテラコ(クロコ)になるがその背景の推測が描かれる。
「小鳥遊」の語源を踏まえ、鷹に内臓を食い漁られたホシノの死体がインパクト抜群。
死体を持ち帰ろうにもボロボロで手がもげてしまうシーンが強烈な印象を残す。
ホシノを持ち帰るための袋を探した際、シロコは自分の「胃袋」があることに気付く。
「砂狼」と化したシロコはホシノの死体を貪り食らい、テラコと化していく。

シロコがテラコに闇落ちした背景としてホシノを食ったと解釈する奇才

実験に耐えられなかったホシノが廃棄され鳥にたかられ内臓を貪られていた場面

ゲーム版のブルアカ本編は偶然全てが上手くいった世界線を見せられているだけであり、他のルートでは無数のバッドエンドがあったことが提示されている。で、あるならばプレイヤーの関心は当然如何にしてそのようなバッドエンドに至ったかという過程のストーリーに向かうことは必定であり、いくつものファンアートが描かれた。この作品はアビドス学園がバッドエンドになり、シロコが闇落ちしてテラコ(クロコ)になった背景を推測するものである。シロコがホシノの死体を食ったという内容なのだが、単なる猟奇的な手法を用いて奇をてらうだけでなく、生徒達の苗字の語源を踏まえたり心情描写を深く描いたりとわりと濃厚な作品に仕上がっている。死体描写は勿論のことシロコの内面にも注目だ!

話の流れとしては、ホシノが借金問題を解決するため身売りし黒服の実験に使われるという本編を踏まえている。ここでホシノは実験に耐えられず死亡し、その死体は破棄されるのである。ホシノを探しに来たシロコはカイザー社員たちを尋問しながら殺害し、何とか辿り着くのであるが……。そこには死体に群がる鳥(鷹?)の群れがあった。シロコは思わず鳥たちを追い払うのであるが、ここからの心情描写がワザマエ。思わず追い払って庇ってしまったが、その死体はホシノ先輩ではないと必死に否定し、自分が見つけられていないだけと思い込もうとするシロコが死体を確認してホシノだと認識する流れの緊迫感がとても良く表現されている。

晒される残酷な死体に耐えられず、吐瀉しながら嗚咽し、なおも死体を漁ろうとする鳥を追い払おうとする。せめて亡骸だけは持ち帰ろうとホシノの手を掴むも、もげて取れてしまう所も名シーンである。死体がボロボロで持って帰れない、だけれど死体を置いて行きたくない、せめて袋があればと苦悩するシロコは自分の胃袋があることに気付く。シロコの苗字である「砂狼」からその本能を抑えきれず、死体を前にして食欲にかられお腹が鳴ってしまうのである。全てを食らいつくしたシロコが血だまりの中で蹲り、長い時間そうしていたのだろう。シロコはテラコ(クロコ)になっており、ホシノが残した盾だけを持ち帰ったというオチ。テラコはスキル使用時にアビドスメンバーの技を使用するが、それがその一端というオチである。

ホシノの死体に耐えられないシロコ
ボロボロになったホシノの死体を持ち帰るために自分の胃袋に収めるシロコ