シュヴァルツェスマーケン 紅血の紋章の感想・レビュー

架空戦記。内向的で偏屈な若者が精神的に成長するはなし。
冷戦下の東ドイツを下敷きに異星人侵略に対抗する人類たちを描き出している。
架空戦記歴史小説、極限状況モノは結構好きなので、とても面白く読めた。
前編であるこの「紅血の紋章」では主人公が過去と対峙克服し、未来に向かうところまでプレイできる。
世界史的な要素がわんさかと出てくるので、世界史や国際情勢スキーにはおススメできるかと。

概要


  • カティア編(過去の呪縛との対峙)
    • 主人公のテオドールは孤児院で虐待を受け、それを養父母一家に救済された一族。東ドイツから亡命したところを捕まり再教育を施された後、軍に編成された。軍では自分さえ生き残ればそれで良いという思想を持ち、冷淡であった。しかしそれは国家による暴力により洗脳された結果であり、この呪縛からの解放が前半部分の主題となる。まずテオドールをして過去に対峙させしむのが、西ドイツからやってきたカティアの存在。カティアは東ドイツの有名将校の娘であったが西ドイツに送られてそこで育つも、父のいる東ドイツへの憧憬を忘れられず、東西の架け橋となることを望んでいた。カティアの理想を鼻で笑っていたテオドールであったが、その姿に感化されていく。こうしてテオドールは過去の呪縛と対峙する必要に迫られ、そこから脱出すべく足掻き悶えることになるのであった。



  • アイリス編(煩悶からの解放)
    • テオドールは国家保安省からの暴力と洗脳に深いトラウマを抱いていた。尊敬する義父母を見捨てたこと、妹のリィズを守れなかったこと、恐怖に屈して自白したことの負い目はテオドールを苦しめる。そんな折、カティアはテオドールたちの中隊から分離され、要塞で地上戦を経験することになる。カティアはカティアでこの戦いを通し、軍に使いつぶされる兵士たちの現実を知り、理想主義的なだけの自分の認識を改めることになる。一方でテオドールはカティアの分離を通して中隊を率いる長的なポジションのアイリスから精神的成長を促される。これまで自分を正当化するためだけに行動してきた自分を、アイリスの抱擁により昇華することのできたテオドールは、部隊のために奮戦できるようになるのであった。



  • リィズ編(自分の命の使い方)
    • テオドールのトラウマであったイモウトが実は生きてました展開。煩悶から解放されたテオドールに次なる試練が課される。守るべきイモウトは実はスパイなのではないかとの疑心暗鬼に囚われながら過ごすことになる。この状況下で、アイリスからは自分の理想を語られる。それは「東ドイツ」として人々を救うこと。アイリスは有名将校を父に持ったが、クーデタ容疑で粛清され、その際実の兄を生贄にして自分だけ生き残った。以来、アイリスは東ドイツ民衆を助けるという目的のためだけに生きるようになったのである。アイリスに影響されたテオドールもまた過去の呪縛と対峙し、煩悶から解放された後の、自分の命の使い方を考えるようになる。精神的に成長したテオドールの活躍により軍の苦境を乗り越えることのできた中隊は、西側陣営をはじめ国際的な承認と評価を受ける。だが東ドイツにおける政治的な内紛によりアイリスは連行されてしまうところでエンドロールを迎える。その後、リィズがとある勢力のスパイである伏線が張られて、「紅血の紋章」の幕は閉じる。


備考

ドイツ語問題(発音はロシア人によるため)

過去の呪縛

最後の灯火

アイリスの人物像