月の彼方で逢いましょう「日紫喜うぐいす」シナリオの感想・レビュー

泣きゲー・ホスピス枠だが、過去改変発動でご都合主義・生存エンド。感動が台無し。
高校編で一度は間接的に振られるが、それはクール系知的先輩がホスポスだったから。
先輩の為にと文章の研鑽を積んだ主人公くんは、他ルートとは異なり見事小説家となる。
しかし先輩はドイツでの治療よりも主人公くんと人生を送ることを選び、最終的に死に至る。
つまりは主人公くんとフラグ構築したからこそ死んだとも言えるのだ。
自責する主人公くんは過去改変を行い、先輩とのフラグを崩壊させ、延命に成功!
結局、最後はご都合主義が発動し、先輩生存・記憶継承となり幕を閉じる。
先輩が死んだ所か、せめて過去改変してフラグ崩壊させた所で終わっていればと・・・。

安易なご都合主義によって、全ての感動と作品の良さを、自ら台無しにしていくスタイル

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  • 先輩の死を乗り越えた所で終わっていれば間違いなく名作だったでしょう。
    • 皆さん、思い出してください。『AIR』で輪廻の呪縛から解放された観鈴ちんが砂浜でゴールした時のことを。『ナルキッソス』でセツミ先生が尊厳死を選び延命治療を否定して淡路島で入水自殺した時のことを。これらのようにヒロインの死を描くことで、死生観を表現していた時代が確かにあったのです。しかしそれらのシナリオは「泣きゲー」というジャンルを生み出す一方で、「ヒロイン死なせときゃ感動して売れるんだろー」とかいう安直な潮流を生み出し、ヒロイン死にゲーが粗製乱造されるようになりました。そのため、「如何にしてヒロインの死を描くか」ということがライターの腕を問う一種の課題となったのですね。しかしながら最近の作品では、ヒロインを死なせることに抵抗があるのか、「1回はヒロインを死なせておきながらも安易に蘇生させるスタイル」の傾向が見られます。『金恋』なんて本編で丁寧に描き出したヒロインの死生観・生き様・思想を、FDではあまりにもアッサリと生存させて自ら作品のテーマを蹂躙しに行くスタイルでした。本作もまさに同様!!!!!!
    • うぐいす先輩ルート、本当に途中までよくできているのですよ。良い所を列挙すると以下の通り。
      • ホスピスであるため、ささやかな願望(普通の学校生活を送ること)すら諦めた先輩を、主人公くんが奮闘して救うところがステキ。
      • 死に直面する先輩が、延命治療よりも主人公くんと一緒にいることを選ぶところがグッとくる。
      • 先輩の為に文章の研鑽を積み、他ルートとは違い本当に小説家になる主人公くんの努力。
      • 残り少ない寿命を全うするため、最後の時間を使って小説を書こうとする先輩の生き様。
      • 作品を完成させ、主人公くんたちに看取られながら幸せだった短い人生を終える先輩。
      • ドイツで新薬が完成したニュースをみて、自分とフラグ構築をせずにドイツで治療を受けていれば完治したであろうという酷な現実を突きつけられる主人公くん(現に他ヒロインのルートでは生存)。
      • 自分との恋愛のせいで先輩を殺してしまったと精神崩壊する主人公くん。それを叱咤激励する聖衣良やきらりたちの仲間の絆。
      • ヒロインズたちの言葉により覚醒する主人公くん
    • ・・・などなど上記のような胸が熱くなるような展開が目白押し。『水月』の雪さんルートのバッドで花梨エンドに入った時のことや、『CLANNAD』の同人誌で渚死亡後の杏ルートに入った時のことを彷彿とさせました。愛したヒロインが死んでも人生は続くんや・・・残された側が残りの人生をどう生きるかを描かにゃならん・・・その点で、ヒロインが死んだ後に精神崩壊した主人公くんを立ち直らせるという展開にしたこの作品は評価できるな・・・と途中まで思っていたのに!!!嗚呼、思っていたのに。

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  • 過去改変してフラグクラッシュしたところで終わっていれば、良作だったかもしれません。
    • 本作ではシュタゲよろしく過去に送れるメールが重要なモチーフとなっており、他ルートでもシナリオの根幹となる役割を果たしていました。うぐいす先輩ルートでは、先輩死亡後にそのスマホを手に入れ、過去改変を試みます。主人公くんが願ったのは、先輩の生存でした。この時点で、先輩の死と、その死を受け容れた主人公くんを否定しにかかっているのですが、まぁ良いでしょう。先輩を活かすために、過去の自分にわざと好感度を下げさせる選択肢を選ばせて、先輩との思い出が零れ落ちていく描写は読みがいがあります。そして完全にフラグを叩き折ったことにより、先輩は主人公くんとの関係を深めず、ドイツで治療に専念することになります。そして新薬が完成し、延命に成功した先輩・・・。主人公くんがフラグを犠牲にして先輩を生存させた展開も、それなりに味があると言えます。シュタゲのクリス展開みたくね。
    • しかし、本作の場合、スーパー超展開ご都合主義タイムが発動!!!!スーパームーンブルームーンがなんちゃらとか言い出した時点で、嫌な予感はしていたのですが・・・。なんと主人公くんは改変前の記憶の残滓をネット小説で連載しており、しかもそれを先輩が読んでた~という流れです。そしてネット小説が完結し、それを自費出版すると、その本を捧げるため江ノ島に行きます。改変前の世界で、フラグ構築した場所ですね。するとそこには先輩の姿がありました。数年ぶりの時を経て邂逅した二人は月の光に導かれ何度も巡り会う展開となりハッピーエンドになりました・・・。いや~コレ、先輩の死を乗り越えるところで終わってた方が良かったのではないですかね?もしくは過去改変要素を活かすのであれば、せめてフラグクラッシュを代償にしたが故の先輩延命エンドなら、まだ受け入れられたかもしれません・・・。先輩√をプレイしたプレイヤーの皆様は、どのように思われましたか?

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