雑録

白昼夢の青写真 体験版の感想・レビュー

アルビノ少女「世凪」を救う為、過去・現代・未来の3つの文芸を巡る話を1つに統合せよ。
1人のヒロインをモチーフとする異なる話を統合していく作品には有名な前例が存在する。
このパターンは個別√がグランド√の為の装置にしか過ぎなくなるという弱点を持つ。
故に個別√がシナリオ全体の中でどのような機能を持つか、その意義付けに注目が集まる。
おそらく世凪のトラウマが個別√により一つずつ昇華され、アルティメット世凪が爆誕
アルティメット世凪により個別での世凪をモチーフとしたヒロインズも救済されると予想。
果たして過去の名作を超えられるか、二番煎じに終わるか見ものですね。

正ヒロイン「世凪」をモチーフにした3人のアルビノ少女を救済せよ!

CASE-1 現代編 「小説」を巡る中年男性と女子高生の話

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  • 小説家の道を諦めた冴えない中年男性非常勤講師が少女により再起する。
    • 語り部となるのは40代の中年の男性。かつては小説家を志しており、自分を肯定してくれた大学の同級生と結婚しましたが、とうとう芽が出ることはありませんでした。現在は非常勤講師として冴えない生活を送っており夫婦仲も冷え切っています。この話で重要視されるのが「早世した売れっ子小説家」の存在です。主人公の中年男性と同じゼミであり、在学中から注目を浴び、書けば売れるというベストセラー量産装置でした。主人公はこの売れっ子小説家に対して羨望と嫉妬を抱いており、物語はこの死んだ売れっ子小説家の遺児の少女との邂逅から始まっていきます。
    • この少女は、売れっ子小説家であった父が家庭を省みなかったため、「父親」がどのような存在であったかを知りたいと願っています。そしてこの少女に作品を読みたいと言われたことを契機に主人公は数年ぶりに筆をとることとなったのです。主人公は少女の願いにこたえるべく、売れっ子小説家の人生を追う作品を仕上げ、そこに理想的な父親像を構築します。しかし、この作品を読んだ少女は失望。主人公を父の作業場に案内し、発狂して自殺した現場を見せたのでした。主人公はJKに言い寄られて年甲斐もなく空回りした自分に絶望。その暗い感情を、自分のことをゴミの様な目で見てくる不倫を繰り返す妻にぶつけ、犯してしまうのでした。
    • 果たして中年男性はこのようなどん底の中から這い上がり、再び作品を仕上げて、世の中に絶望する少女を救済することができるのでしょうか!?というのがテーマ。

 

CASE-2 過去編 「演劇」を巡る16世紀末イギリスの話

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  • 流されるままに生きてきたシェイクスピアが宗教弾圧で宣教師を失い覚醒する。
    • エリザベス1世統治下のイギリス。イギリス国教会によりカトリックが弾圧を受けているという設定です。この話の中ではシェイクスピアは盲目になりかけている父親と共に居酒屋を営んでおり、そこが旧教徒の隠れた集会場になっているとのこと。店の経営は上手く行っておらず、父親は栄養失調。シェイクスピアは頼まれた戯曲を切り売りして何とか凌いでいます。ある時シェイクスピアは生活の困窮に耐えかね鹿泥棒をして捕まり、処刑寸前のところでオリヴィアに奴隷として身請けされることになります。シェイクスピアは戯曲を書く一方で、役者としても舞台に立つことを要求されますが、イマイチ身が入りませんでした。そんなシェイクスピアの心を奮い立たせることになったのが、イギリス国教会の弾圧を受け、尊敬していたカトリックの宣教師が捕縛されてしまったこと。密告したのがシェイクスピアのライバルとなる戯曲家であったことから、シェイクスピアは覚醒。自分の作品で相手を叩きのめすと奮起するのでした。
    • オリヴィアはその美貌でスペンサーに取り入り自分の劇団を持ったという設定で、シェイクスピアの脚本を使って自分が役者として舞台に立つことを目指しています。女性が舞台に立つことが一般的でない世の中で、体制に叛逆していく姿をどのように描いていくのかがシナリオで問われます。

 

CASE-3 未来編 「写真」を巡る不登校男児とへっぽこ教育実習生JDの話

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  • 厳格な父子家庭で不登校となった少年がへっぽこ教育実習生を救済する。
    • 主人公は父子家庭の不登校男児です。サバイバル写真家であった母親を亡くしており、その存在に強く囚われています。母親は自分の歳にはカメラマンとしてデビューしていたため、主人公は高3のこの夏に、母親が撮りたいと願っていたハレー彗星を撮影することに拘っていたのです。しかし、そんなことは荒唐無稽な夢物語であり、学校にも行かずにガレージで母親の遺したキャンピングカーを弄っていたずらに時間を過ごしていました。
    • そんな焦燥感に苛まれる少年の下へ、教育実習生のJDが家庭訪問にやってきます。このJDもワケアリであり、元キャバ嬢だったのです。JDは母親の再婚相手が自分のことをクズ扱いしてきて、その度に母親が肩身の狭い思いを強いられるので、教免を取ることによって見返してやろうとしていたのです。JDは本来の自分の心を殺し、おかっぱ黒髪メガネスーツで擬態していましたが、指導教諭からはこれまたクズ扱い。不登校児である主人公を登校させれば、それと引き換えに教育実習の修了認定をやろうと踊らされ、主人公の家庭にやってきたのです。この家庭訪問により、父親に学校へ行っていないことがバレた主人公でしたが、紆余曲折を経て1学期が終わるまでの5日間は登校することを決意します。
    • 学校に行ってみるとJDのヘッポコっぷりは凄まじいものでした。しかし、主人公はヘッポコJDが擬態を解き、本来の姿でいるところを目撃してしまうのです。その姿に心を打たれた主人公は何枚も写真を撮影し、こちらの方が輝いていると現像した写真をプレゼントするのでした。
    • そして夏休み前の終業式、教育実習最後の日、JDは擬態を解いた姿で現れます。教員向いてないし、教免取ることがすべてじゃないし、母親が泣いたら本来の自分で向き合えばいいじゃんという結論に至ります。そして主人公が夏休みに成し遂げたいというハレー彗星の撮影を手伝いと申し出るのでした。

 

グランド√ 世凪編 3つの話を一つに統合し世凪を救え!

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  • 3つの作品を読み進めていくことで世凪の自我が成長していく。
    • 3つの物語を統合する世界は火の鳥未来編よろしく地上が荒廃しているという設定です。そこで主人公は「世凪」というアルビノのヒロイン及びAIの少女と暮らしています。主人公の記憶は人工的に消去されており、上述した3つの夢を見続けていくことが求められています。その3つの夢と世凪がリンクしており、話が進んでいくごとに世凪の自我もまた成長していくのです。本作はこの世凪を救済することが最終的な目的となっています。3つの話は全てグランド√のパーツにしか過ぎないというワケです。ここで各話を使い捨てで終わらせてしまうのか、それとも読者の心の中に何かを残せるのか、ライターの手腕が問われています。
    • 勝手な予想ですが、3つのシナリオは世凪のトラウマに該当しているのでしょう。そしてその時点ではバッドエンドに終わってしまいますが、シナリオを通して世凪は成長していくのだと思われます。そして主人公による夢の記録により、3つのシナリオを読み終えたことで世凪はトラウマから解放されます。言うなればハイパーアルティメット世凪の爆誕です。この世凪完全体により解決策がもたらされ、バッドエンドになってしまった個別√がハッピーエンドに転換するというギミックです。こうすれば個別√に世凪解放以外の正統性が与えられ、さらに3つのシナリオがあったからこそ、各シナリオが完結するというカタルシスを生むことができるのではないでしょうか。まぁテキトーな思い付きですが、本編でどのようなオチになるのか気になる所ですね。

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