かけぬけ★青春スパーキング!「鹿島理々」シナリオの感想・レビュー

富裕階層の御令嬢が裕福な生活を後ろめたく感じ奉仕活動に身を投じる話。
理々は当初ノビレスオブリージュの思想を掲げボランティアに取り組んでいた。
しかしそれは単なる理論武装であり単純に引け目を感じていただけであった。
勤労学生である主人公に比べ恵まれた生まれに依存する自分は斯くや…というワケ。
それ故行動を起こせなかったがライバルの登場に焦り積極的に主人公を落としに来る。
フラグ構築後は恋愛にかまけてノビレスオブリージュを忘れ父親に窘められる。
理々は偽善による自己欺瞞に苦しみかけるがアッサリと処理されハッピーエンドとなる。

鹿島理々のキャラクター表現とフラグ生成過程

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  • 富裕階層の出自という後ろめたさ
    • 【1】鹿島理々は富裕階層に生まれ淑女教育を受けた品の良いお嬢様。父親の教えの下、ノビレスオブリージュを掲げ、熱心な奉仕活動に取り組んでいました。しかし理々の根底には、富裕階層であることの後ろめたさがあったのです。ノビレスオブリージュといっても自分がしていることは偽善であり、現実からを背けているだけの自己欺瞞に過ぎず、こんなことをやっても社会が変わるわけではないとの思いに駆られるのです。ここで左に走ればアカとなり文学に目覚めれば有島武郎太宰治になったでしょう。しかし富裕階層の後ろめたさという題材はあまり掘り下げられず個人的な問題として自己完結します。まぁ青春モノの娯楽的読み物っすからね。理々シナリオではあくまでも「主人公に対する」後ろめたさでうまく処理されます。
    • 【2】理々が主人公と出会ったのは高校入学後。お嬢様として扱われることに息苦しさを感じていた時、主人公だけは理々の本質を見てくれたのです。それ故理々は主人公に惹かれていくのですが、主人公が勤労学生であることを知ることになります。義妹の為に頑張る主人公に対して尊崇の念が芽生え、ますます好感度がうなぎ上りになると同時に、だからこそ豊かな家庭環境に依存する自分など主人公に釣り合わないと思うようになってしまったのでした。そんな理々を変えることとなったのが、青春部の発足。突如出現した主人公の幼馴染の存在により焦燥に駆られます。主人公が取られてしまうと感じた理々は青春とは何かを教える師匠になるとか言い出し、積極的に主人公を落とすのでした。
    • 【3】フラグ構築後はイチャラブタイムが展開されますが、恋愛にかまけてボランティア活動をサボっていたため、父親から窘められてしまいます。父親は別に恋愛を禁じてはいないし、寧ろ理解がある方でした。あくまでも極振りするのではなくバランスが大事よというようなご助言でした。しかしここでもまた理々は偽善による自己欺瞞としてのボランティアに思い悩むのです。そんな理々に対し、青春部の面々からは明るいアドバイス。主人公もまた、生まれによる格差は仕方がないから各個人がそれぞれ出来ることをやるしかないし、後ろめたく思う必要はないと論じます。泣きゲーなら理々精神崩壊路線まっしぐらとなったでしょうが、これは青春ゲーなので、割とアッサリと理々は苦悩を昇華します。最後は保育園の人形劇で主人公と理々の馴れ初めを題材にした芝居を演じ、ハッピーエンドを迎えます。

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