神様になった日 第8話「海を見にいく日」の感想・レビュー

佐藤ひなは不治の病で、母はそれを気にして死亡、父からは捨てられた話。
ひなを引き取った「じぃじ」が興梠博士で、主人公の両親はその弟子であった。
これまでひなが他者の家族問題に敏感であったのは自らの身上に起因していたのだ。
夏休みを通してひなに助けられてきた主人公は今度はひなの為に立ち上がる。
ひなの父に会いに行き、その過去話を聞くが、父はひなを受け入れなかった……
そしてひなが元気でいるのは「奇跡」であり、それは一瞬だと告げられる。
つまり世界の終わりとはひなの奇跡が終わる日であることが匂わされている。

家族・宗教・死生観・不治の病・奇跡(MOON・ONE・AIRKanonCLANNAD

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  • フラグ規制が解放され両親に「佐藤ひなのことを聞く」イベントが発生!
    • 今回は佐藤ひなの人物像を掘り下げる回でした。当初主人公は佐藤ひなを一時的な存在と見なしており、その身上を深く知ろうとすることはありませんでした。しかし夏休みを共に過ごし様々なフラグ構築イベントを通して好感度を蓄積することで、ひなの存在が大きなウェイトを占めるようになっていきます。それ故、夏休みが終わったらひなはどうなってしまうのかという喪失の危惧に駆られるのです。ここで初めて主人公は両親にひなのことを尋ねます。両親は主人公のひなに対する覚悟を見て、これまでの経緯を話すのでした。曰く、ひなは主人公の両親の恩師の孫であり、神秘的な恰好をさせておくので何かあったら世話をしてくれと頼まれていたのだとか。そしてひなの母はもう既に死亡しており、父は別の家庭を築いていることを聞かされるのです。
    • これまでひなが他者の家族問題にこだわっていたのはそういった背景があったからでした。好感度蓄積がなされていない場合は、ひなの問題に関わらなかったでしょう。しかし義を見てせざるは勇無きなり。今度は主人公がひなを助ける番だと言わんばかりにひなの実父に会いに行こうとするのでした。主人公の行いは幸せに暮らしている家族に残酷な現実を突きつけるものだったかもしれません。それでもその若さによる熱情と行動力は止められないのでした。

 

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  • 佐藤ひなと不治の病
    • 「神」である佐藤ひなは一体どのような存在であり「世界の終わり」とは何を意味しているのか?という議題が俎上にのぼっていましたが、ついにその伏線が回収されました。佐藤ひなはホスピスだったのです。月宮あゆのような生霊ではなく美坂栞のような不治の病ver.(生霊展開パロには不謹慎ながら噴いた)。そしてひなが不治の病であったことによりもたらされた家族崩壊の様子が、ひなの実父から主人公に語られていきます。最初は家族愛と善意によりひなに接していたのでしょう。しかし報われることのない負の連鎖は人の感情を汚染していき破滅をもたらします。愛は勝てなかったのです。こうしてひなを生んでしまったことを後悔した母親は死亡(明言されていませんでしたが、自殺の可能性)し、父親はひなを捨てて別の女性と新しい家族を作ったのでした。
    • 主人公により、娘が元気にはしゃぎまわる様子を見せられたひなの実父は、残酷であると述べます。そしてひなを受けいれるどころか、主人公もまたひなの不治の病に苦悩するであろうことを予言し、奇跡の一過性について論じることになります。「奇跡は一瞬だから強く光り輝いて見えるのだよ。だが結局は辻褄があっていく。そのようにこの世界はできているんだ」。はい奇跡は起きないから奇跡って言うんですよ展開の発動です。このシーンで一日の終わり際に強く輝いていた夕日が山の端に沈んで暗くなっていく演出はまさに泣きゲーであり今回の放送のクライマックスでした。安直な予想ですが、ひなが言う「世界の終わり」における世界とは普遍的な世界を指しているのではなく「ひなの世界」、すなわち「ひなが元気でいられる夏休み」を意味しているのでしょう。つまり「世界の終わり」とは一瞬だから光り輝いていた奇跡が終焉を迎えて、ひながホスピスとなり死ぬことを予感させているのかもしれません。
    • あともう一つの説としては、現在放送されている話の世界線がAIの演算による可能性世界という展開。ニトロプラスの凍京ネクロ的なパターン。佐藤ひなが興梠修一郎から電脳スキルを伝授されていることから、その演算でどのようなマルチエンドになるのかを推測したものの一つというオチになるのかも。そうすると鈴木パートの役割は、フラグ分岐により生み出された数多ある可能性世界を潰すための存在であり、この世界線もデリートしに来たって考えるとさすがにSF展開すぎかも?

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