神の国の魔法使い(神之国的魔法使) EP1「プロローグ」の感想・レビュー

メタ的なろう系作品。平安時代にタイムスリップした中華兄妹がなろう系知識を使って村興し。
前近代日本において渡来人が大陸先端知識で無双する話は火の鳥でもありましたね。
それを踏まえて主人公くんたちは領主層から唐出身者として丁重にもてなされる設定です。
EP1は内政ゲーであり時空移動先の舞台がどのような社会なのかを確かめていきます。
ワープゾーンで令和と平安を自由に行き来できるものの時間に制約がつくというなろう系です。
平安で過ごしても令和で時間は過ぎないが、令和で過ごした時間は平安で数倍にもなるという世界観。
主人公はヲタク妹のなろう系知識をその都度参照しながら僻地の寒村を発展させていきます。
(クナ国で読者が求めていたのはこういった内容なんだよ!と思ったのは私だけではないよね)

中国人の兄妹が令和日本から平安時代へタイムスリップし村興しをするそうです

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令和から平安へ
  • 令和から平安へタイムスリップ
    • 主人公くんは現代中国で働く薬局屋の青年。ヲタクである妹を連れて観光のために日本へとやってきます。そこでなんと人民解放軍のテロに遭遇。渋谷の街は混乱に陥り、国会は占拠されてしまいます。主人公くんは危機から逃れるために神社へと避難し、そこで魔法陣を踏むとタイムスリップが発動!平安日本へと飛ばされることになります。当初は異世界転生なのか転移なのかタイムスリップなのか分からず、それを検証するところからスタート。村長と交渉したりなんだりしながら徐々に舞台が平安日本なのだと判明していきます。ここら辺が丁寧で導入が上手よな。なろう系の場合、作者が考えた舞台設定をどのように読者に落とし込むかが序盤の重要な課題になりますがとってもスムーズ。主人公くんはヲタク妹のなろう系知識を使いつつ現代社会の科学技術を用いて「現実的に」チートしていくことになります。

 

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農業改革でコルホーズを導入
  • 丁寧な内政チートでなろう系チートの欠点に応える
    • 歴史背景にも一定の配慮がされており、当時の日本の地方支配システムとかが史実にアレンジを加えながら上手くストーリー進行に組み込まれています。主人公くんたちの村が無税なのは寒村で作物の乏しく領主に見放された地域だから。一応巡察はやってきて良好な関係は築いていますが、僻地であることは間違いありませんでした。主人公くんはこの村の発展を目指すことになり、岩塩の採取、農業発展、商品作物栽培、コルホーズ、土地改良、水利問題、産業開発など様々な業務に着手していくのです。なろう系では地味目で倦厭されがちな場面を丁寧にやってくれて内政パートがしっかり出来ていて面白いぞぉ!なろう系では3行で描写されがちであり、なろう系が苦手な人たちが受けいれられない要素を、きちんと処理してくれるのでステキ。まさにメタなろう系である。現代知識ならではのチートってのはこういうチートなんだよな。ちゃんと分かってるじゃんねこねこソフト

 

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主人公くんたちは唐の先進文明を持ったマレビト
  • 領主との交渉
    • さて、そんなチートを加速させることになるのは現代との行き来。プロローグも中盤あたりになると、平安から令和へと戻れることが判明します。これまで村長は領主様の支配を受けない代わりに庇護もしてもらえませんでした。主人公くんはそんな状況を打破するために交渉へ赴くのですが、ここで現代から仕入れた100均グッズが功を奏すのです。また、なぜ主人公くんたちが現地住民から一定の尊敬を受けるのかも判明。主人公くんたちは唐からやってきた先進文明を保持する教養ある知識人と思われていたのです。こうして主人公くんは領主との縁故づくりにも成功し、村はますます発展していく……かに見えました。

 

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軟禁中勉強に励む主人公くんの図
  • 人民軍による軟禁と時間経過の差異
    • 村興しのために一通りインフラを整えた主人公くんが次に目指したのは交易の拡大。そのためには遣唐使船を作るぞ!と意気込むのですがここで問題発生。なんと令和に戻って物品を仕入れに行った際、テロの余波を受けて捕まり、軟禁状態になってしまったのです。ここで伏線であった「過去と現在の時間の流れの違い」が発動。平安で時を過ごしても令和の時間は進まないが、令和で時を過ごすと平安では数倍速にもなるという設定です。数か月の時を経て、日本と中共の間での話し合いはまとまり、無事に軟禁から解放されるのですが、平安に戻ってみると8年もの月日が経過していたのです。主人公くんが整えた村はすっかり寂れ、村長の娘も14歳へと成長していました。なぜ村は疲弊してしまったのか、遣唐使船はどうなるのか、大きな謎を残して次回へ続く!

 

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冷静な主人公くんが時折見せる人間臭さ
  • プロローグでの「ねこねこソフト」的見どころ
    • EP1でのハイライトは現代人と過去人の間の線引きをしてきた主人公くんが情に絆されるところでしょうか。主人公くんは村を効率的に発展させるために、ヲタクである妹が持ってきたニチアサ系魔法ステッキを呪術的に利用していました。それに加えて村長の娘である幼女を一種の権力装置として利用していたのです。妹と村長の娘はまるで姉妹のように仲良くなっていくのですが、やはりケジメは重要。と、いうことで妹は線引きの象徴として魔法ステッキを用いることとし、電池を抜くことで村長の娘が振ってもステッキが光らないようにしたのです。この違いは幼女をして、その違いを痛感させることになります。目的そのものは達成されたのですが、姉妹のように仲が良かった妹と村長の娘の関係にも線引きされてしまうのです。そんな状況を見てこれまで客観的に遠巻きに見ていた主人公くんが、光る状態にしてステッキを振るわせてあげるのでした。この体験が村長の娘の生きるヨスガとなったのでしょう。8年間もの主人公たち不在の時間、村が衰退していく様子を目の当たりにしながら、それでも必死に生きて来た少女の胸の内が感じ取れるような気がします。

 

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8年越しの再会

20周年記念ディスクの差分は1/30時点でもまだ来ない

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修正パッチを当てるよう指示が!
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webにはupされているとのことですが・・・

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まだ来ていなかった!