雑録

ゴールデンカムイ樺太編(6)「尾形回:異母弟殺し編」の感想・レビュー

発熱した尾形がウィルタ民族の霊媒師の治療により過去の因果を想起する話。
尾形は満鉄反対派である花沢幸次郎の私生児であり嫡男誕生後は棄て置かれていた。
だがしかし日露戦争に従軍すると、異母弟が無邪気に尾形を慕ってくる。
旗手である異母弟は父の命で童貞・不殺を貫き清いままで戦争を終えようとしていた。
更に異母弟から哀れまれた尾形は、流れ弾を装い異母弟を射殺してしまうのであった。

イノセンス性を汚そうとしてできない尾形の執着

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  • 異母弟も汚せなかったしアシㇼパさんも汚せなかった。だから殺したし殺そうとした。
    • 尾形は満鉄反対派である花沢幸次郎の私生児。実母は常に自分を棄てた男に向き、息子を愛することはなかったので、尾形は母を殺害しています(「あんこう鍋」回)。そんな尾形が執着するのが「イノセンス性を汚す」こと。そのきっかけとなったのが、異母弟の存在だったのです。異母弟:花沢勇作は、尾形が父からの愛情を受けなかったことを知ってか知らずか、従軍すると尾形を慕って擦り寄ってきます。花沢勇作は旗手であり、父親から純潔を命じられていたため、童貞かつ不殺を貫いてきたのでした。尾形はそんな異母弟の無邪気さの信仰を汚したかったのでしょう。遊郭での女郎買いや捕虜殺しに誘いますが、両者とも敢え無く断られてしまうのです。さらに花沢勇作は、人を殺す罪悪感など無いと唱える尾形を哀れみ、抱きしめてさえくれるのです。こうして尾形は花沢勇作のイノセンス性を汚すことが出来ず、最終的に戦闘での流れ弾を装い射殺してしまうのでした。
    • このイノセンス性を汚すことはアシㇼパさんに対しても発動します。杉元がアシㇼパさんの清い側面を崇拝・信仰しているのに対し、尾形はそれを汚してやろうとしているという構図になっているのですね。だからこそ尾形は金塊争奪戦になど興味がないので、物語の構造上はトリックスターとして立ち振る舞う結果となっています。アシㇼパさんが毒矢で尾形の目を貫いた時には、アシㇼパさんの純潔(不殺)を汚した初めての男が尾形になる筈でしたが、杉元が目の毒を吸い出すことによって尾形は一命をとりとめることになります。果たして尾形はアシㇼパさんの純潔を汚せるかどうかが、物語の最大の注目点の一つにもなっています。

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