海事普及
本稿の趣旨 関東州巡航は、平時訓練や演習を意図して実施された。平時任務以外にも、広報、外交、乗組員の精神教育や休養といった様々な目的があった。艦隊行動は日本人居留民と現地民に異なる効果をもたらした。日本人居留民は自らの生活の後ろ盾としての海…
概要 この論文の意義は海軍軍事普及委員会が海軍軍事普及部へと改組された要因の分析にある。ロンドン軍縮は前提としたうえで、満州事変・上海事変を契機に海軍における宣伝活動が本格化したことを実証している。そして朝日新聞を事例に軍事普及部の宣伝活動…
概要 第一次世界大戦後、総力戦体制の構築が求められ世論形成を行う必要があった。そのためワシントン軍縮後に海軍軍事普及委員会が設立されたのだが、宣伝内容は非政治的なものに限られたので、ロンドン軍縮の際に不十分な対応しか取れなかった。この反省を…
概要 本論文の意義は、主に3つ。 ①静岡県磐田郡の史料を用いて地方での海軍協会の活動を扱い地方行政組織との重層性を取り上げた。 ②海軍協会の達成目標が1932~37年の軍縮条約体制打破から1940年以降の志願兵徴募強化に転換するまで、1937~40年の間に南洋…
海軍は各時代状況に応じて様々なプロパガンダ政策を行っており、それらの研究は既に盛んに行われている。しかし海軍のプロパガンダ政策の変遷が体系的に記されているわけではなく、各時代の個別具体的な研究にとどまっている。そこで今回は先行研究を参照し…
概要 巨大軍艦の建設には莫大な経費が必要となり、それを負担するのは国民であるため、軍拡のためには世論の支持が必要であった。日露戦争後の国際的な建艦競争のなかで、世論を啓発して海軍拡張運動を行う「海軍協会」の組織化が目指された。海軍協会は海軍…
概要 海軍軍縮条約体制が海軍協会の運動により打破されたのと同様に、日米開戦不可避論も海軍協会により強硬化した。 軍縮体制からの離脱後、海軍協会は次の目標を模索していたが、日中戦争の勃発により海軍後援に主目標を置く。人的資源の奪い合いに際して…
概要 1930年代に拡充された海軍協会の宣伝活動により世論が強硬論に誘導され、軍縮条約体制から離脱することとなった。 はじめに 1.斎藤実の海軍協会会長就任 2.地方組織の整備と海軍の後援・指導 3.第二次ロンドン海軍軍縮会議予備交渉に際して 4.海軍協会…
旧字は適宜改め改行を施した 概要 1920年代末期、呉鎮における問題の一つに志願兵募集難があった。これに対し谷口呉鎮司令長官は地方官会議において海事思想普及の必要性を訴えている。地方長官に対し、国民を啓発することの重要性を説き、その協力を求めて…
旧字は適宜改めた。 概要 1920年代末期の地方官会議においては、海軍の志願兵徴募が問題になっている。特に呉鎮守府では、横須賀や佐世保が選抜採用しても余裕綽々であるのに比べ、身体・学力の面で充分に志願兵として適さない者たちが合格者に相当数含まれ…
概要 海軍は当初在郷軍人会に加入しなかった。その理由は在郷軍人を兵力として見ていなかったことによる。しかし第一次大戦が総力戦となったことにより、海軍の在郷軍人も貴重な兵力として捉えるという転換が起こる。こうして在郷軍人会に海軍も参加したが、…
概要 海軍は兵の徴募において問題を抱えており優秀な人材を確保するためには地方への統制を強める必要があった。そのため地方海軍人事部を設置し、地方においても軍事普及活動や兵の徴募に積極的に関与できるようになった。また市町村レベルにおいても従来の…
第一次世界大戦が総力戦となったことを見た日本は、帝国民を動員する必要性を感じ、総力戦体制の構築に努めた。海軍では海事思想の普及が求められることとなり、ワシントン軍縮後には海軍軍事普及委員会が設置され、ロンドン軍縮の際には海軍軍事普及部とし…
本稿の趣旨 【目的】軍艦への便乗を海軍思想・海事思想を広め海軍に対する理解と共感を得るためのPRの場とし、民衆との良好な関係を図った海軍は、そこから何を学びどう実践したのかを考察する。 【結論】海軍思想・海事思想の普及を目的とする際、軍艦便乗…
概要 1914年のシーメンス事件により海軍に対して国民の不信感が募ったため、国民の海軍離れを防ぐべく、国民に身近な存在として通俗的なアピールをする必要に迫られた。そこで海軍軍拡のための国民的組織として1917年に設立されたのが海軍協会であった。だが…
概要 軍港都市は、鎮守府・工廠の設置により形成された帝国日本の人工的な都市である。それ故、経済活動を海軍に依存しており軍縮時には深刻な影響を受けた。それ故、戦間期には海軍依存の転換が目指され、その一つとして博覧会の開催が構想された。しかし時…
『呉花街案内』に関するコラム。従業員の女性426人分の個別データが掲載されている所が最大の史料的価値であるとしている。 『呉花街案内』とは 呉市で1935(昭和10)3月から5月にかけて開催された「国防と産業大博覧会」の会期に合わせて発行されたB6の書籍。…
本稿の趣旨 『呉市主催国防と産業大博覧会誌』を中心に「国防と産業大博覧会」の概略と特徴を述べる。 以下、本文内容まとめ 「国防と産業大博覧会」は戦前呉の一大ページェント 1935年3月27日から5月10まで二河公園と川原石海軍埋立地を会場に開催された 45…
本稿の趣旨 呉海軍工廠において進水式は呉市全体を挙げた一大ビッグイベントであったが、情勢緊迫化で進水式の公開は秘匿化された。 内容まとめ 進水式のイベント化 「式場内では、記念絵葉書販売や臨時郵便局での記念スタンプ押印なども行われたが、式典は…